特集【DHA・EPA】 “魚離れ”対策でサプリ活用広がる

 DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)は、体内でほとんど生成されない必須脂肪酸の一種として、サプリメントをはじめ、食品添加物や乳児用調製粉乳、ペット向けサプリなど様々な分野で活用されている。米国EPA・DHAオ メガ3業界団体Global Organization for EPA and DHA(GOED)試算では、2022年の世界市場規模は16億9,000万ドル(前年比7.9%増)となるなど、世界的に市場が拡大している。

 

 EUでは、乳児用調合乳の成分にDHAの添加が義務化されており、米国でも乳児用粉ミルクへの配合が定着している。東南アジアでは、欧米同様に妊婦期や授乳期のDHA摂取が重要視されるほか、日本に次ぐ高齢化を背景に、脳機能改善訴求を中心に需要が高まっており、医師がドリンクやシロップを進めるケースもあるという。一方、国内市場をみると、原材料は、ここ数年の漁獲量減少に伴う品薄状態で、由来原料の安定確保や価格高騰などが課題に。国内サプライヤーでは、独自の脱臭技術をはじめ、オイルの少量化・小型化、高含有タイプの原料、きめ細やかな商品設計、ハラル認証対応、ペットフード向けといった提案を強化している。

 

 主要サプライヤーは、国内トップサプライヤーの㈱ニッスイをはじめ、備前化成㈱、タマ生化学㈱、大倉ケミテック㈱、㈱中原、ユニテックフーズ㈱、オリザ油化㈱など。新原料では、octroll㈱がノルウェー産ニシン由来オイルの供給を開始している。機能性表示食品については、昨年6月30日のさくらフォレストの措置命令を受け、同一の機能性関与成分および科学的根拠のSRを利用する88品に確認作業が行われ、10月までに全品が撤回申出を行ったことが影響した。2023年度のDHA・EPAを関与成分とする機能性表示食品の受理数は28品目で、前年度の47品目から約4割減少した。

 

 措置命令では、DHA・EPAについて、「類似の効能を標ぼうする医薬品等の含有量と比較して含有量が少ない」ため、「合理的な根拠を示すものであるとは認められない」と指摘され、業界では「医薬品の含有量と比較してどうする?」といった声が多く寄せられた。この点について、消費者庁表示対策課は、「景表法7条第2項に基づき、裏受け(機能性表示食品の場合、臨床試験かSRが該当)を要求して精査した結果」とし、「各原料のSRの根拠が弱いという話ではなく、今回の該当商品が3素材配合でその効果があるかを精査したもの」と繰り返し述べるに留まった。つづく

 

 

 

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