特集【機能性糖質・甘味料】 腸活・エナジー・ダイエット、甘味市場活況

 国内の主要精糖メーカー11社で構成されている精糖工業会によると、精製糖生産量は2020年の145万tから21年には150.9万t 、2022年は152万tと若干持ち直している。一方で、1972年の統計では、日本の砂糖消費量が1人当たり30kg/年だったのに対して、2022年は15.3kgと約半分近くまで落ちている。ショ糖産業界の合併も進んでいる。昨年1月に伊藤忠製糖と日新製糖が経営統合して新会社ウェルネオシュガーを設立した。3年前には、三井製糖と大日本明治製糖が合併し、現在は、DM三井製糖ホールディングスとして展開している。 

 

 製糖工業会メーカーの大半は、ショ糖製造に軸足を置きながら、代替甘味料の原料・製品開発や販売活動を多角化している。内食やコロナ太り対策などから、低糖質甘味料の特需は落ち着いたものの、各メーカーとも、機能性糖質・甘味料は安定した伸長率という。機能性表示食品の関与成分としても研究開発が活発化している。なかでも、オリゴ糖の43件(フラクトオリゴ糖27件、ガラクトオリゴ糖16件)がトップで、腸内環境改善、便通改善、血糖値対策などを目的に用途提案が進む。また、オリゴ糖の一種であるケストースは、アトピーや免疫などの機能性研究も進み、新たな機能性糖質として期待されている。

 

 次いで、アルロースの26件は、カロリーゼロでありながら脂肪燃焼などの機能性で採用が増えている。スポーツ飲料向けにも提案が進み、新しいスポーツニュートリションとして期待が掛かる。パラチノースは、持久力向上、集中力向上などの豊富なエビデンスを蓄積しており、スポーツニュートリション向けに採用が好調だ。今年は、オリンピック開催年であることもあり、エナジー系の糖質がますます注目されそうだ。そのほか、各社、エビデンスを蓄積しており、新たなヘルスクレームを準備する企業も見られる。

 

 機能性表示食品以外では、エリスリトール、ステビア甘味料、羅漢果など、天然由来の糖質の採用が増えている。ステビア甘味料は2023年以降、プロテインや栄養ドリンク向けに人工甘味料から切り替えるケースも出てきている。ステビア工業会によると、ここ2~3年は国内のステビア甘味料は200tで大きな変化はないとしながら、植物由来と糖質ゼロの機能面が食品メーカーからも再評価されているという。エリスリトールは、トウモロコシ由来でカロリーゼロでありながらショ糖に近い甘さが特長。コロナ禍で価格高騰したが、現在は価格、供給量共に安定。コストパフォーマンスの高い砂糖代替甘味料として汎用品になっている。つづく

 

 

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