【話題追跡】 紅麹問題、業界前進に向けた新たな試練か

 紅麹問題の進捗が注視されている。サプリメント全体を危険視するような報道も見られ、2006年に起きたアガリクス問題を彷彿させる。原因解明中であるにも関わらず、“健康被害の原因は紅麹にあり”を前提とした報道が拡散されている。

 

 サプリメントを危険視する報道は、主に過剰摂取による弊害や、国内外の医療機関における患者の併用薬剤との弊害に関するもの。アガリクスに至っては、「06年に発がんを促進する作用が認められた」と蒸し返しながら、同年3月に厚労省から事実上の安全宣言が出ていることに触れていないお粗末なものまでみられる。機能性表示食品についても多くの報道がなされたが、根拠資料の再提出や差し戻し、受理に至らずといった届出事業者の苦労する事例には触れず、「販売したい商品の安全性と機能性に関する文献やデータを提出すれば、審査などは一切なく認められる」といった誤解を招くものも。

 

 諸外国との比較では、ダイエタリーサプリメント健康教育法(DSHEA)で構造・機能表示を認めている米国や、フードサプリメントにヘルスクレームを認めるEUなどと異なり、日本にはサプリメント法がないことを理解せず、「欧米では安易に健康を謳った表示はできない」とする誤解を招く報道もあった。行政側から見て、日本の場合は機能性表示の有無で、海外の場合は錠剤やカプセルなど医薬品的形状による特殊性から成分や安全性、品質に対するリスク管理をしており、そもそも日本の規制と同じテーブルには並ばないという点を理解してから報道すべきだ。

 

 今回の紅麹問題では、原因解明を待たずして、“疑わしきを罰する”姿勢で、サプリメント批判を展開する報道が相次ぎ、既に風評被害も生じている。玉石混交の様々な視点から発信される見解を、今後、サプリメント業界が前進するための新たな試練として、まずは原因解明に対する冷静な情報収集に努めたい。つづく

 

 

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