特集【カプセル技術】 様々なアプリケーション提案進む

 ハードカプセル市場は、乳酸菌やNMNなどニーズの高い人気素材を中心に堅調に推移しており、供給タイトな状況は回復しつつある。国内のハードカプセル主要メーカーは、ロンザ、ソーフンジャパン、クオリカプスの3社。一昨年に自主回収を行ったロンザとクオリカプスは、いずれも供給を再開。増産対応を図ったソーフンジャパンや、インド、中国からの新たな空カプセル提案などもあり、現在は需給が安定している。

 

 健康食品におけるカプセル製剤開発のメリットは、ニンニクやトウガラシ(カプサイシン)など、味や臭いで刺激の強い素材をそのまま食べられる利便性や、内容成分の安定性を高める、1 回当たりの摂取量の設計のし易さ、取り扱い易さなどがある。ハードカプセルの場合、製造工程で光沢剤や崩壊剤などの賦形剤を入れなくても充填でき、早期の商品化に寄与するメリットがある。原料別でみると、ニンニクなど胃粘膜への刺激が強い素材はもとより、腸活・免疫対策の製品開発で「耐酸性」「腸溶性」を訴求する乳酸菌、ビフィズス菌をはじめ、油脂とは馴染みにくいNMNのような高額原料などの製品開発に活用される。また、非変性Ⅱ型コラーゲンなど熱に弱い成分を含む原料や、水分で安定性が著しく損なわれるビタミンCやB群などのビタミン類など、「耐熱性」「吸湿性」を要する原料の課題解決にも幅広く活用されている。

 

 一方、ソフトカプセルでは、カプセル皮膜の気密性や酸素に対するバリア性が高い点、油・エキスなどを混ぜ合わせた液体の成型加工が可能な点などがメリットだ。原料別でみると、ニンニクやDHA・EPA(魚油)、鮫肝油など、戻り臭が気になる原料をはじめ、還元型CoQ10など酸化NG原料、ルテインやウコン(クルクミン)、アスタキサンチンなどの色素系油脂、ビルベリーやカシスなど色素系成分の製品開発に活用される。なお、打錠等で崩壊性遅延などが懸念されるヒアルロン酸は、ハードカプセル・ソフトカプセルの両方で製剤開発の実績がある。

 

 カプセルメーカーは、素材や成分の特性に合わせて、様々な機能を付加し、サプリメントの高機能化をアシストしている。人気素材の乳酸菌やビフィズス菌などの生菌素材を生きたまま充填できる高付加価値タイプのソフトカプセル『ビフィズス菌配合・三層シームレスカプセル』(富士カプセル)をはじめ、豊富なバリエーションで海外からも注目の高い液体充填ハードカプセル『Licaps®』(ロンザ)乳酸菌や酵素で採用の増えている耐酸性HPMCカプセル『EMBOCAPS® AP』(ソーフンジャパン)、油脂系機能性分の体内吸収を高める『自己乳化技術』(キャタレント・ジャパン)など特徴的なカプセルの提案が進んでいる。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1785号(2024.4.3)で
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