特集【化粧品開発最前線】 「耐水性表示」「ジェンダーレス」など新たなトレンド

 経済産業省・生産動態統計によると、2023年の化粧品販売金額は、1兆2,919億4,599万円(前年比2.1%増)となった。類別概要を見ると、ファンデーションやリップクリーム、アイメークアップなどの「仕上用化粧品」は2,702億5,451万円(同11.3%増)、日焼け止めおよび日焼け用化粧品などの「特殊用途化粧品」は913億5,555万円(同20.2%増)に。コロナ収束を受け、メイクアップコスメやUVケア関連は2ケタ増で回復している。

 

 UVケア関連では、2022年12月より日本化粧品工業会で運用が開始された耐水性表示がトレンドに。ISO18861の試験法で測定して確認されたUV耐水性の効果を「★」もしくは「☆」で表示するもの。従来のSPF/PAの製品は、UV耐水性の表示の有無にかかわらず、紫外線防止効果は同じだが、UV耐水性の表示がある場合、水に触れたり、浸かったりした後でも、紫外線防止効果が維持されることが期待できる。このため、既存の日焼け止め処方中に添加するだけでUV耐水性を付与できる新規原料などの引き合いが増えている。

 

 世界的に拡大の続く自然・オーガニック化粧品市場を中心に、SDGs対応やフェアトレード、アップサイクル原料、非GMO、ノンケミ処方といった提案は、ここ数年のトレンドとして継続している。化粧品開発の際、一般的に使用される環状シリコーン化合物(デカメチルシクロペンタシロキサン:略称D5)は、感触、粉体分散性ともに優れているが、生体内での難分解性、高蓄積性などが問題視され、欧州では2022年1月より0.1%以上使用した製品の販売が禁止となり、国内でもD5代替成分を模索するケースが増加。このほか、大気汚染など外的ストレスからの皮膚の保護といった、地球環境の変化に着目したエビデンスを報告する新規原料もみられる。

 

 女性の健康課題をケアする「フェムケア」もトレンドのひとつ。生理や妊娠、妊活、更年期などによる女性の不調や悩みを解決する新たなカテゴリーとして2025年には5兆円市場に達するといわれている。化粧品では、デリケートゾーンケアのソープやローションなどの開発依頼が増加傾向に。産婦人科や助産婦を通じたサロンからの依頼では、「なるべくシンプルで自然由来成分を中心に」といった要望などが寄せられているという。さらに、コロナ禍で新たに創出した在宅スキンケアやメンズコスメの需要拡大を背景に、ジェンダーレス型のコスメ開発といった提案も出てきた。特に理美容サロン市場においては、男性利用者が年々増えており、店販商品の購入金額は男女共に増加傾向にある。つづく

 

 

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