【話題追跡】 中国への健食輸出、回復の兆候

 財務省の貿易統計では2021年から、「ビタミン、ミネラル、アミノ酸または不飽和脂肪酸をもととした栄養補助食品(小売用の容器入りにしたものに限る)」の輸出額を集計している。栄養補助食品輸出額の最も多い国は中国。本紙が定期的に実施している受託企業への調査でも輸出国を聞くと、ベトナム、台湾などが台頭しているものの、中国がトップを維持している。2021年の中国への栄養補助食品輸出額は、90億3,234万円。2022年は167億5,365万円(前年比85.5%増)と大幅に増加した。しかし、2023年は146億952万円で同12.8%減となった。

 

 2023年も上半期は、82億6,060万円(同31.0%増)と好調に推移していたが、ALPS処理水放出以降、一気に下降した。日本製品の買い控えが広がり、8月以降は9月の前年同月比75.5%を除き、全ての月が同50%台で推移。下半期は同39.2%減と大幅マイナスとなった。中国では、若い世代を中心に自国ブランドを推奨する国潮ブームが盛り上がったほか、中国国内の景気悪化が重なったことも大きい。

 

 一方、今年1月の輸出額は、12億2,140万円で同55.7%増となり、7ヵ月ぶりにプラスに転じた。実際、本紙が昨年11〜12月に掛けて行った受託企業への調査では、「輸出案件の成約が増えた」「ストップしていた商品開発が動き出した」などの回答が寄せられていた。今年2〜3月に掛けて行った飲料受託企業への調査でも、ALPS処理水について、「悪影響がある」との回答は3割程度だった。

 

 販売メーカーからは、「昨年9 〜11月頃は、越境EC向けサプリメントの売上が大きくダウンしたが、昨年12月、今年1月は前年を上回った」「魚由来原料を用いたサプリメントに対する問合せが増えている」「ダイエットなどのサプリメントを中国で展開しているが、直近2月、3月の売上金額は前年を超えた。底打ちしたとみている」など、回復に向けた手応えを感じるコメントが複数聞かれた。このほか、「中国側のALPS処理水に対する加熱報道が収まったことが大きい」「日本製品を扱えない状況が長引き、現地ビジネスにも影響が出ている」といったコメントも。つづく

 


 

詳しくは健康産業新聞1785号(2024.4.3)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら