ZOOM UP【健康酢】 機能性表示食品、市場成長の起爆剤に!?

 健康酢の代表格「黒酢」は、鹿児島県霧島市福山町界隈で製造されている「鹿児島の壺造り黒酢」など、壺や甕による静置発酵法で製造されるものから、大手メーカーによる工業生産された黒酢まで多岐に亘る。液体黒酢は飲用や調味料として使用されており、リンゴなど果汁を加え飲みやすくした黒酢製品なども数多く流通する。また液体黒酢をエキス末化した原料、黒酢もろみを粉末化した原料は、サプリメントに使用されている。

 

 黒酢市場はここ数年、横ばい微減で推移。ミツカンの黒酢飲料やえがおのサプリメントが市場をリードする。一方、市場全体では販促費用を大きく掛ける企業もない中、年々右肩下がりの傾向にあるようだ。黒酢市場は、中高年層を中心としたコアユーザーのリピートに支えられており、10年以上のロングセラー商品が多く見られる。今回の主要サプライヤーや販売メーカーへの取材・調査でも、2023年度の業績について「良かった」との回答は見られず、「どちらともいえない」「悪かった」との回答が多くを占めた。

 

 近年の健康酢市場を押し上げているのが、果実酢をはじめとしたビネガードリンクだ。最近ではミツカンのリンゴ酢やCJ FOODS JAPANの美酢のヒットが記憶に新しい。ここ数年で原料に用いられる果実・果汁の種類も増え、酢特有の臭いや風味の改善も進んでいる。炭酸割など飲み方のレシピ等の浸透もあり、愛飲者が若年層にも広がりを見せるなど、健康・美容飲料の1カテゴリーとして定着しつつある。マイボイスコムが昨年5月に実施した食酢(飲用酢)の利用に関するアンケート調査によると、食酢の飲用経験者は5割強に達していること、女性40~70代の飲用経験者の割合が高いことがわかった。

 

 一方で、ミツカンやCJ FOODS JAPAN、伊藤園、メロディアン、タマノイ酢、マルカン酢、内堀醸造――など、大手有力企業も多いビネガードリンク市場では、競争も激化している。調味料としての食酢の利用が年々減少傾向にある中、多くの食酢メーカーがビネガードリンクに参入していることが一因だ。実際、今回の調査では、食酢メーカーの間で業績の明暗が見られた。なかには、「シェアを獲得できず、終売する」とのコメントも聞かれた。機能性表示食品を受理して健康機能を訴求することで差別化を図る動きも活発化している。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1784号(2024.3.20)で
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