ZOOM UP【殺菌技術】 青汁素材などサプリ原料の粉体全般で需要増加

 健康食品では、植物系や動物系の天然由来素材が多く、原料特性に応じて有用成分や色調、味、香りなどの特性を損なわない殺菌技術が要求される。殺菌の需要が増えている原料は、大麦若葉、明日葉、モリンガ葉などの青汁用素材をはじめ、ウコン、ショウガ、田七人参、イチョウ葉、アガリクスなどのキノコ類、スッポンなど幅広い。粉体殺菌には、加熱殺菌、薬剤殺菌、紫外線殺菌などの方式がある。数ある殺菌方式の中でも、加熱殺菌は、殺菌能力・原料への影響・コストの面で評価されている。加熱殺菌はさらに、低温殺菌(蒸気・熱湯)、高温殺菌(過熱蒸気、煮沸)、高周波、マイクロ波、赤外線、遠赤外線など様々な方法に分類され、原料本来の「色調」「香り」「味」を損なわないよう、原料の特性に合わせた殺菌方法が要求される。

 

 健康食品原料の殺菌工程で最もポピュラーな殺菌法は、殺菌機に原料投入した際に発生する結露水膜(飽和水蒸気)に熱エネルギーを加える高圧蒸気殺菌法だ。原料特性に応じて使用する殺菌機を分けることで、“色調劣化”や“成分劣化”を抑えることができる。また、短時間で耐熱性芽胞菌も死滅させることが可能であるほか、「殺菌対象となる原料を必要以上に濡らさない」「過熱水蒸気による殺菌のため、安全性が高い」「短時間・無酸素状態での殺菌のため、有効成分の損失や酸化が少ない」といったメリットが評価されている。

 

 殺菌受託各社では、素材の色や風味を残したまま殺菌するために、色調劣化や成分劣化を抑制するだけでなく、素材の美味しさを損なわないよう、原料特性に応じた最適な殺菌・滅菌技術のノウハウで、様々なニーズに対応している。日本粉末薬品では、高速気流式殺菌装置、流動型高圧蒸気殺菌装置など4種の蒸気殺菌方式を備え、原料の色調・成分劣化抑制から品質・安全性管理まで差別化を提案。機械特性を生かし、品目毎に使用する機械を変えることで、植物の特性を最大限に引き出すノウハウを構築している。百年生物化学研究所は、流動式高圧蒸気殺菌機を備え、原料のダメージを最小限に抑える豊富な殺菌実績を持つ。殺菌はもとより、粉砕、焙煎、乾燥、分包、異物除去なども手掛けており、粉砕加工では、超微粉砕化や、用途毎の粒度設定にも対応。「青汁用原料やサプリメント用原料が好調」という。小西製薬は、大阪府内3工場で、医薬品原料の殺菌・粉砕ノウハウと生かして、「少量」「多品種」の殺菌・製粉に対応。連続バッチ式殺菌機を導入しているほか、少量殺菌に適した新たな殺菌装置も導入。「近年は、アガリクスなどキノコ原料の加工依頼が増えている」という。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1781号(2024.2.7)で
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