【インタビュー】 機能性表示食品、「可能性は十分にある」

 霊芝の機能性研究に従事する九州大学農学研究院の清水邦義氏。現在、機能性表示食品を目指す企業を支援する「目利き調査事業」(福岡バイオコミュニティ推進会議)に参画している。他のキノコにない霊芝の特長や、機能性表示食品開発の可能性などについて話を聞いた。

 

──霊芝との出会いや魅力について

 霊芝との出会いは、2000年頃。最初の印象は、とにかくトリテルペノイド類の構造的多様性に驚いた。他のキノコと同様、β-グルカンをはじめ、様々な多糖類を含有するが、それだけではなく、霊芝にしか報告されていない300種以上のトリテルペノイド類を含有し、多種多様な薬理活性を有する。これが大きな魅力。当時は、キノコの機能性に関する論文の多くは、β-グルカンなどの多糖類に着目しているものが多かったが、霊芝は、トリテルペノイド類の構造的多様性から導かれる多機能性に着目した研究が多く行われていた。

 

 私自身も研究者として駆け出しだった中、貪欲に霊芝研究をスタート。その後、2014年の日本木材学会賞に繋がり、霊芝と出会えて本当に幸運だったと思う。一方で、霊芝の成長段階を見てみると、含有される成分群がダイナミックに変化する。菌糸体、原基形成、そして、だんだんと成熟した子実体へと形成されていく。つまり成長段階によって、成分群も変化する故に、薬効も大きく異なる。加えて、栽培方法(培地組成、温度、湿度)によっても成分群は変化する。産業上の視点からは、均一な規格化の難易度が高いということを示しているが、その薬効のポテンシャルは、果てしない広がりを有していると言える。

 

──機能性表示食品開発の可能性は

 免疫については、限られた免疫指標(NK細胞、IgAなど)での断片的なエビデンスデータの蓄積があるものの、樹状細胞をベースとした包括的な免疫能に対する働きかけを説明できる健常者でのエビデンスデータはない。しかし、機能性表示食品の届出における免疫の考え方が明確になりつつあることから、現状に則したヒト臨床試験を実施することができれば、近い将来、免疫での機能性表示も可能性は十分にあり得る。免疫分野以外では、健常者を対象に、男性の排尿障害に関するヒト臨床試験の知見が蓄積されている。

 

 このほか、動物実験、細胞実験等で、各種メタボリックシンドローム(肥満、高血糖、脂質代謝異常等)関連や認知機能・ストレス関連での有効性が示唆されている。霊芝は、健常者でのヒト臨床試験のエビデンスデータが少ないが、エビデンスデータの蓄積が進めば機能性表示食品の受理が期待できる。つづく

 

 

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