特集【医家向けサプリメント】 取扱い件数増加で、市場拡大

 自由診療を行うクリニックを中心に健康寿命延伸やQOL向上に向けて食事療法やサプリメント提案が活発化している。「サプリメントは治すものではない」という認識が医師らの大半を占める一方、症状の緩和、病気の予防、患者のQOL向上という面で大きな市場を形成しつある。日本オーソモレキュラー医学会の柳澤厚生医師は、「日本の保険診療について誰もが危機感を持っている。10年前と比べるとサプリや栄養療法に対する考えが格段に変わった。まだメジャーな分野ではないが、慢性的な体調不良など、薬以外で健康になる方法が見直されている。医療情報に敏感なドクターは、海外の最新情報を積極的に取り入れている」と話す。

 

 医師らがサプリメントを採用する基準は、①治験(エビデンス)、②医師自らの体感、③基原料の品質――などが挙げられる。医家向けサプリメントで用いられる素材は、ビタミン、ミネラル類、アミノ酸などの基礎栄養素をはじめ、アガリクス、冬虫夏草、フコイダン、担子菌培養抽出物、活性高分子多糖体、担子菌糸酵母、有機ゲルマニウムなどの免疫賦活系素材が多い。整腸、エイジングケア、認知機能、妊活サポート向けに、乳酸菌、ハーブ抽出物、葉酸なども利用されている。統合医療を行うクリニックでは、キノコなどの活用が多く、各社のエビデンスの蓄積や臨床現場の活用により、長年にわたり利用されている製品が多い。また、海外の医療機関で拡がりを見せているのも特長だ。

 

 一方、近年は原因不明の不調や未病の観点から微量栄養素を提案する医師が増えている。日本オーソモレキュラー医学会所属の医師らを中心に、ビタミンCやマグネシウムをはじめ、NMN、CBDなど新しい成分を活用するなどの動きも。医師自ら海外での治験や学会情報を積極的に収集し自らの治験に活かしている。眼科クリニックでは、加齢黄斑変性に対するルテインの需要が高まり、原料メーカーによると、「全体の1割程度だが確実に医療機関への採用量は増えている」と話す。聖隷浜松病院の尾花明医師は、加齢黄斑変性に対するカロテノイドの摂取の有効性を様々な場で伝えており、医家向けルートでのルテインサプリメントの需要が今後も増えそうだ。つづく

 

 

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