【話題追跡】 処理水の影響長期化、ポスト中国健食輸出先にベトナム急上昇

 本紙編集部が2023年11月中旬〜12月上旬に掛けて、健食OEM企業を対象に実施したアンケート(有効回答138社)によると、2023年下期の輸出状況について、「輸出が増えている」との回答は、前年調査より10ポイント以上増の66%となった。「2023年は輸出案件の成約が増えた」など、海外輸出が徐々に回復している様子がうかがえた。輸出先国を聞いた調査では、今回も中国(56票)がトップだった一方で、前年3位のベトナムが2位となり、1位の中国に1票差に迫る55票を集めた。

 

 ベトナムと言えば、人口約9,946万人を抱え、1人当たりGDPは約4,110ドル(2022年)で、年8%の伸び率はASEAN10ヵ国で1位と、顕著な経済成長が知られる。国内の健食企業も注視しており、現地に営業所等を進出する企業が増えている。原料商社の岩瀬コスファ㈱は2012年にいち早く現地法人を設立した。近年では、オリザ油化㈱が2022年10月に駐在員事務所を設立、中日本カプセル㈱は2023年10月に子会社設立と、企業による進出が目立ち、マーケットの重要度が伺える。

 

 処理水放出が行われた2023年8月以降の財務省貿易統計を見ると、「栄養補助食品」(サプリメント、飲料等)の中国向け輸出額は、処理水の影響の無かった2022年8〜10月は50億9,491万円だったのに対し、2023年8〜10月は30億4,067万円と約4割減となった。さらに㈱Nintの調査によると、中国の主要ECサイトの日本ブランドの売上は、2023年9月が前年比35%減、11月の独身の日セール期間も32%減と、一向に回復は見られなかった。

 

 一方、貿易統計では、2023年8〜10月のベトナムへの「栄養補助食品」の輸出は、6億2,563万円(前年同期比19.2%減)と減少はしているが、タイ(同6,397万円、71.3%増)、マレーシア(同9,336万円、125.1%増)、インドネシア(同1億2,312万円、47.2%増)と比較して規模は大きい。ベトナムは周辺国への輸出拠点ともなり、“ポスト中国”の新たな輸出先として期待が高まる。つづく

 

 

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