特集【23年総括/健食受託加工・製造】 増収達成5割強、足取り強く

 本紙編集部は、2023年11月中旬~12月上旬に掛けて、健康食品の受託加工・製造企業約240社(有効回答138社)を対象とした調査を実施した。調査対象の企業の売上高は10億円未満が51%、10億〜50億円未満が30%、50〜100億円未満が9%、100億円以上が11%だった。今年の売上状況は、前年調査から5ポイント増え55%が増収になった。2ケタ増収も3ポイント増え16%に。減収企業は前年調査から4ポイント減の31%だった。2023年下期の経営状況に関する質問では、「良かった」との回答は39%。「悪かった」との回答は15%。「どちらともいえない」は46%だった。

 

 「良かった」との回答を集めると、コロナが収束した2023年下期は、前年以上に既存顧客の受注回復や、新規顧客の獲得を挙げるコメントが増えた。「既存顧客の売上伸長と新規案件の獲得が重なった」「大口顧客のOEMが復調」「通販、TVショッピング等向けの商品開発が増加した」「スポーツイベントが再開し、ゼリー飲料の注文が伸長」「インバウンド向け商品の受注が戻り始めている」など、確かな手応えを実感するコメントが多数寄せられた。また、「2023年は輸出案件の成約が増えた」「海外は受注ベースで前年を上回った」など、海外輸出も徐々に回復している様子がうかがえた。輸出状況については、「輸出が増えている」との回答が前年調査から10ポイント以上増え66%に。輸出先ではベトナムが1位の中国に1票差の55票を集めた。 

 

 一方、2023年下期の経営が「悪かった」「どちらともいえない」との回答では、円安などの影響による原材料や資材の高騰や、物流コスト、工場のエネルギーコスト増などを背景に、「利益率が下がった」「製造原価が上昇し、増収減益となった」などを挙げるコメントが目立った。各社では、原料仕入れの見直し、原料のまとめ購入、生産効率の向上、製造コストの削減、物流会社との連携強化など、自助努力できる取り組みを実施。取引先への価格改正の要請を複数回行っている企業も少なくない。また、工場の人手不足は慢性的で、「人手不足」「やや人手不足」を合わせると84%。正社員確保や外国人の積極雇用などのほか、「時短勤務」「福利厚生の充実化」など、労働環境の改善に取り組む事業者も。工場製造ラインの一部自動化など、省人化を進める回答も複数あった。

 

 2024年上期の見通しでは、昨年調査から8ポイント増え、45%が「良くなる」と回答した。2023年以上に通常の生活に戻ることへの期待や、インバウンド需要の本格的な回復、さらなる海外案件の受注増などを回答するコメントが多かった。こうした中、2024年は66%の事業者が増収を見込む。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1778号(2023.12.20)で
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