【話題追跡】 ”ステマ・ヘブン”の日本にテコ入れ、景表法に「ステマ規制」

 SNSによる動画広告などインターネット上の広告手法の多様化・高度化に伴い、広告なのかクチコミなのか判断の困難な商品・サービスが増大している。こうした背景を受け、10月1日より景表法に「ステマ規制」が追加され施行された。今後、企業のプロモーション活動はどのように変化するのか。ステルスマーケティング(以下・ステマ)の問題点は、広告を広告でないように見せ、消費者の合理的な購買意思決定を阻害する点。発生要因には、①企業の広告宣伝に対する不信感や嫌悪感の高まり、②ソーシャルメディアやSNSの普及、③電子商取引(Eコマース)市場の拡大――などがあり、消費者発信の口コミが重要な情報源となっている。

 

 ステマの手法には、インフルエンサーなど少数の影響力のある発信者に報酬を支払い、報酬を支払ったことは表示せずに商品を推奨して貰う「利益提供秘匿型」と、多数の発信者(一般人)に報酬を支払い、口コミ投稿して貰う「なりすまし型」などがある。「利益秘匿型」は、対価を受け取っているかどうかが分かりにくいため、炎上に繋がるケースも。「なりすまし型」は、投稿が匿名で、広告主に関係するかが分かりにくい点が問題視されている。中間業者は広告主ではないとの認識から、従来の景表法では直接規制されていなかった。

 

 今回の施行の背景には、こうしたアフィリエイトプログラムを利用した成果報酬型広告の市場規模が年々増大している点を問題視したもので、2019年度に約3,100億円だった市場は、2024年に約5,000億円になると予測されている(令和4年2月「アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書」)。日本はこれまでOECD加盟国の中で、ステマ規制を持たないため、“ステマ・ヘブン”と称されていた。ステマ・ヘブンの解体に向け、消費者庁は昨年9月よりステマ規制の検討を開始。昨年末に不当表示の景表法規制対象とする報告書をまとめ、今年3月に10月1日施行を発表した。つづく

 

 

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