東北大学、爪床毛細血管測定が糖尿病網膜症の発見・評価に有効

 東北大学は、糖尿病網膜症(DR)の発見・評価に、非侵襲な爪床毛細血管測定が有効との研究成果が、学術誌『Graefes Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology』に10月24日付で論文掲載されたことを発表した。DRは、失明原因の第3位で年間数千人が失明しており、糖尿病患者にとって深刻な視機能障害をきたす合併症となる可能性がある。特異的なバイオマーカーがないため、DRの早期発見は一般的には難しいのが現状だった。

 

 今回の研究は、東北大学大学院医学系研究科眼科学分野の中澤徹教授、國方彦志特命教授、岡部達医師らの研究グループが、あっと㈱(大阪市中央区)が開発した毛細血管スコープによるシンプルかつ非侵襲的な方法を用いて、爪床毛細血管(NC)の測定が、DRの発見や重症度評価に有効であることを明らかにした。試験は、Ⅱ型糖尿病患者82人と非糖尿病患者63人を比較。NCはあっと社製の爪床毛細血管スコープを用いて撮影し、毛細血管画像解析システム(Capillary Analysis System)により、本数、長さ、幅、濁度について定量化し、NCパラメータとして統計解析に用いた。

 

 その結果、糖尿病患者は対照群と比較して、有意にNCパラメータの本数が減少、長さも短縮、幅も狭小化、濁度は強くなることが明らかになった。糖尿病患者では、DR重症度が高くなるにつれて、NCの構造的変化が強くなる傾向にあり、NCパラメータは、DRと増殖性DR(PDR)の識別能を有していた。年齢、性別、収縮期血圧、推定糸球体濾過量、ヘモグロビンA1c値、高血圧および脂質異常症の既往歴などの全身因子も、DRおよびPDRの存在と関係していたが、その全身初見にNCパラメータ(長さ)を加えると、DRの識別能をさらに有意に改善させることが明らかとなった。つづく

 

 

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