【機能性表示キーマンに聞く】 オール九州でヒト試験ネットワーク構想、前進へ

 長崎県立大学シーボルト校地域連携センター特任教授で、九州地域バイオクラスター推進協議会会長を務める田中一成氏。同氏に九州ヘルスケア産業のポテンシャルや同協議会の取り組みなどについて話を聞いた。

 

――ヘルスケア分野における九州地域の強みや、注目する九州素材は

 九州は温暖な気候と海や山に囲まれた特有の地形から多種多様な農産物が生育しています。また、伝統的な発酵・醸造食品が多く、それら技術を活用した機能性研究・製品開発も活発です。さらに、健康食品産業や先進的な医薬研究施設などのバイオ関連企業や大学、研究機関が集積し、中国や東南アジアに近く、海外展開しやすいことも強みです。

 

 最近では、「食」と「テクノロジー」を融合させて製造した植物肉(プラントベースミート)など、世界に発信するフードテックベンチャー企業も台頭しています。ポテンシャルの高い健康素材の1つは、大麦(β-グルカン)。九州全体で栽培から収穫までできるので、オール九州として、新たな機能性表示食品の創出に向けた取り組みが進めば、九州全体を盛り上げることになり、競争力の強化に繋がると思います。また、九州の地理的特性により育まれた産物である芋類や豆類も注目したいです。これら食物繊維をベースとした食材は、腸内環境を整え、睡眠の質や認知機能の改善、疲労回復など、現代人の健康増進が大いに期待できます。

 

――九州地域バイオクラスター推進協議会の取り組みは

 協議会(事務局:(公財)くまもと産業支援財団)は、予防医学・サービス産業と連携した機能性食品・健康食品の提供による安全・安心な「フード健康アイランド九州」の構築に向け、様々な活動に取り組んでいます。今年度、注力するのが「アライアンスマッチング事業」「海外展開事業」「機能性表示支援事業」の3つです。「アライアンスマッチング事業」では、九州健康おやつプロジェクトの認定商品24品の認知度向上に向けた情報発信および販路開拓支援を実施。今年はウエルシアプラスの九州初となる3店舗に、認定商品を中心とした会員商品のコーナーを開設しました。毎月の売上が目標額を超える順調なスタートを切っています。

 

 「海外展開事業」では、日仏連携事業を推進。10月にフランスDijon市において「Japan Week」が開催され、試食ブースが多くの人で賑わったほか、九州食材に関するセミナーでは、200人以上が集まり、九州産の機能性食材に対する関心の高さが伺えました。「機能性表示支援事業」におけるヘルシーファーミングプロジェクトでは、「家畜の健康と美味しく人の健康に役立つ畜産物生産」をコンセプトに活動。会員企業の有精卵が機能性表示食品として受理されました。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1776号別冊『九州~健康・美容産業~』(2023.11.15)で
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