別冊【九州~健康・美容産業~】 オール九州で健食開発を支援

 九州7県の機能性表示食品の累計受理件数は850品を超えた。機能性表示食品全体の1割以上を占める。受理件数が最も多いのは福岡県。614品で全国でも東京都、大阪府に続く3位に入る。トップの東洋新薬は、独自エビデンスをもとに訴求別、剤形別にラインアップしており、顧客ニーズに応じたODEM(ODM&OEM)の提案を進めている。9月には、葛の花由来イソフラボンを機能性関与成分に、「日常の身体活動による脂肪の燃焼を高める」旨の機能性表示が可能になった。

 

 福岡県の受理件数が多い要因は、機能性表示食品の開発などに対する支援体制が充実していることも大きい。福岡県では、「創薬」と「食品」を中心としたバイオ産業の育成、集積を推進。福岡県バイオコミュニティ推進会議(事務局:久留米リサーチ・パーク)が窓口となり、県内事業者を対象に機能性表示食品の届出に向けた様々な支援メニューを用意している。利用した県内事業者の累計受理件数は200品を超える。事務局では、「開発相談件数は増えており、異業種からの相談も少なくない」と話す。

 

 届出支援事業に参画する九州大学農学研究院・清水邦義准教授は、「未利用素材(食品残渣)など、アップサイクルという視点で機能性表示食品の開発に取り組む事業者が増えている」と事業者の取り組み変化を挙げる。機能性表示食品が増え、支援10年目を迎える中、「これまで以上に事業者自らが機能性表示食品の制度と動向を学び続ける姿勢が重要になる」と話す。

 

 また、福岡県をはじめ、九州は通販メーカーが多く、健康機能を消費者にダイレクトに伝えられる機能性表示食品の商品ラインアップを図る動きが目立つ。一方、販売メーカーからは、「製薬メーカーや大手健食・食品メーカーの商品も多く、差別化は難しくなっている」「景品表示法に基づく措置命令が出たことで、開発・販売促進が慎重になっている」といった声も聞かれた。今回、各社の通販商材は比較的堅調に推移している様子がうかがえたが、既存商品のブランド見直しや主力製品に次ぐ商品の育成、オウンドメディアの構築など、ユーザーへのアプローチや新規獲得に向けた戦略を進めていることがわかった。また、通販ノウハウを活かし食品事業への参入や、異業種での事業展開を広げる動きもみられる。つづく

 

 

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