特集【抗糖化】 アフターコロナのトータルエイジングケア

 日本生活習慣病予防協会が実施した「コロナ禍での生活習慣病リスクを探るアンケート調査」によると、医師100人への質問で、人間ドックや健康診断での数値に ついてHbA1cとBMIが悪化したことがわかった。次いで中性脂肪、血糖値と糖化ストレスを原因としたものとみられる項目が上位を占めた。また、一般生活者3,000人への生活様式への変化に関するアンケートでは、「ストレスが多くなった」(36.1%)、「運動不足になった」(35.4%)、「間食の回数が増えた」(21.9%)、「ご飯や麺類、パンなどの摂取量が増えた」(20.4%)と、糖化リスクに関連する要因が増加していることもわかった。

 

 糖化ストレス研究の第一人者で、抗糖化に関する普及啓発を行っている同志社大学の八木雅之教授は、「コロナ禍で糖化ストレスは確実に高まった」と指摘する。「運動不足、ファストフードなどの内食や家飲みが増加し、経済やウイルス感染に対する不安から来る睡眠障害など、これらは全て、糖化ストレスを増大させる重大な要因」と話す。糖化は、タンパクと糖が結合して起きるメイラード反応。糖化によって生成されるのが終末糖化産物(AGEs:Advanced Glycation End Products)と呼ばれる数十種類の化合物群。AGEsには、蛍光性・褐色変化・タンパク同士の架橋形成などの特性があり、皮膚や血中、骨中、脳、毛髪などの老化促進に影響を及ぼすことがわかっている。こうした状況が続くと動脈硬化や糖尿病性血管障害、骨粗鬆症、網膜症・腎症などの糖尿病合併症リスクの増加にも繋がるとして、生活習慣病対策や健康長寿実現の観点からも糖化対策は非常に重要なポジションに位置付けられている。

 

 国内で「抗糖化」の関連商品が登場してから10年以上が経過。消費者認知調査では約80%が「抗糖化を知っている」状態になった。一方で日本以上に糖化に感心を寄せているのが中国だ。ここ数年は中国や台湾をはじめとしたアジア圏で抗糖化商品のニーズが広がりをみせている。海外向けに展開するメーカーでは、「日本では薬機法の観点から抗糖化を伝えるのが難しいが、中国ではもう少し踏み込んだ説明ができるので消費者が理解しやすい」と話す。抗糖化原料を供給するサプライヤーもアジア圏への展開を視野に入れた動きが活発となっており、今後は国内外での抗糖化市場拡大が必至だ。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1775号(2023.11.1)で
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