特集【販促・営業支援】 AI活用、顧客戦略立案など健食通販で進化

 急速に進む高齢化社会や拡大する医療費問題などを背景に、健康食品の需要は拡大傾向が続いている。市場では、①製薬・製菓など異業種からの参入が相次いでいる、②販売先として参入障壁のコストが安いインターネット通販に乗り出す事業者が多い、③汎用性があり価格帯の高額な健康食品や化粧品をラインアップする販社が随時新たなニーズを求めている――などの動きが見られる。近年は、WEB、メール、スマホアプリ、店舗を連携したオムニチャネル化により、「テレビやネットで見た商品を電話で」「店頭で見た商品をスマホで」といった、従来の通販や店販といった枠組みを気にせずに消費者が商品を購入できる市場形成が進み、コロナ禍を経てその傾向は一段と加速している。

 

 消費者からは、商品購入だけでなく、新商品の要望や購入商品の意見、クレームなども寄せられるため、事業者側としては、そうした様々な“消費者の声”VOC(Voice Of Customer)をリアルタイムで連携することで、性別や年齢層、時期や時間帯、地域別の傾向などを分析し、集客や新規顧客開拓、効果的なキャンペーン、サンプリング配布などが可能になる。こうした中、“顧客満足を組織的に作り続ける経営”CS経営(Customer Satisfaction Management)として、消費者の声を受け止めるコールセンターの活用が注目されている。

 

 コールセンターでは、健康食品をはじめ、化粧品、家電、雑貨など各分野で専用のオペレータを育成する。通販市場の拡大と共に、人手不足が深刻化する中、オペレータ一人当たりの生産性の向上と共に、呼量の削減など運用上の課題解決に、AIの活用が期待されている。AI活用の主なものには、チャットポットやボイスポットなど顧客対応の自動化をはじめ、音声認識機能を利用したモニタリングの自動化、VOCの分析、音声の自動テキスト化による作業負担軽減などがある。ホームページ内「よくある質問」に該当するFAQ(Frequently Asked Questions)もそのひとつ。コールセンターの呼量削減に寄与するだけでなく、掲載されているWEBサイトを見て、消費者自らが自己解決を図るため、問い合わせやクレームなどの未然防止やオペレータの負担軽減として浸透している。

 

 また、通話内容をリアルタイムにテキスト化し、その内容をチェックするAI活用の音声認識も進化している。健食通販の定期・クロスセル率や残存率、LTVなどの大幅アップに実績を持つ㈱アイエムエフでは、AIを活用したコールセンター設置支援・マーケティングコンサルを提供。対話型次世代IVR(自動音声応答装置)を組み込んだAI対応を介することで、「コンプレックス商材やフェムケア商材を扱う企業の離脱率を抑えることが可能」という。

 

 健食通販におけるコールセンターの活用に着目した製造業による新たな提案も見られる。近年の宅配便取扱個数の急激な増加、それに伴う再配達問題などの宅配クライシスを経て、コンビニ受け取りサービスや在宅ロッカー、置き配など受け取り方法の多様化が浸透したことで、店舗への納品と、ECでの配達を従来のように分けて管理できない状況も生じるなど、商品流通が複雑に入り組んでいる。こうした中、最終製品の管理や配送で生じるこうした課題に着目し、健康食品や化粧品の製品ODEMから物流支援までをトータルサポート事業として手掛ける㈱東洋新薬や、健康食品・化粧品専用の充填包装から保管、物流コールセンターまでをワンストップで対応する㈱ミズ・バラエティーなどの事業者が活躍している。つづく

 

 

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