特集【アクティブシニアサポート~骨・筋肉~】 機能性表示食品、1年で200品増

 内閣府が今年6月末に発表した『高齢者白書』によると、65歳以上の体力テストの合計点は向上傾向で、健康寿命は延伸していると報告した。同白書は、65歳以上の男女2,414人にアンケート調査を行い、その結果をまとめたもの。「健康について心がけているか」の問いでは、65~74歳までの男女89.9%が「心がけている」と回答。また、「健康について日ごろから心がけていること」の問いでは、女性は「栄養のバランスのとれた食事をする」が最も多かった。この層はアクティブシニアと呼ばれ、日頃から運動や栄養管理に気を付けており、ヘルスリテラシーが高い。普段から、健康食品やサプリメントを摂取する人が多いこともわかっている。

 

 一方で、この世代は「フレイル(虚弱)」と呼ばれる高齢者特有の身体的特徴が増えるケースも課題となっている。フレイルは高齢になるに従い現れる状態で筋力や心身の活力が低下する。「筋力や骨密度の低下により体がしぼんでいく症状」と説明する専門家もいる。ただし、病気ではなく、健康体と要介護の中間に位置する状態を指す。身体的な症状としては、骨粗鬆症や、サルコペニア(加齢性筋肉減弱現象)などが挙げられる。東京都健康長寿医療センター研究所と日本老年医学会の調査によると、2012年のフレイ ル率は8.7%、2015~16年は11%、2020~21年は16%と、上昇が続く。

 

 サルコペニアは、タンパク質などの不足が原因の1つとされており、骨粗鬆症は、カルシウム不足が主な要因とされている。サルコペニアや骨粗鬆症は、運動と栄養摂取により、進行を遅らせることができることがわかっている。こうした中、健食業界では、高齢者向けの骨・筋肉維持、運動機能の向上をサポートする素材の機能性研究・製品開発が活発化している。特に、「骨・筋肉サポート」を訴求する機能性表示食品の届出は伸長、10月10日時点で受理品429品と、前年同時期より211品(43%)も増加した(関節を除く骨290件、筋肉139件)。「筋肉・筋力サポート」関連では、HMB、乳酸菌、クレアチン、ブラックジンジャー、GABAなどが機能性関与成分としてサプリメントやドリンクに利用されている。

 

 TPCマーケティングが行った『2023年ロコモ対策商品ユーザーの実態とニーズ』によると、「意識的に摂取している栄養素」で「植物性タンパク質」「動物性タンパク質」の出現率が大幅に増加。特に、70代女性が意識的にタンパク質を摂取していると発表した。実際、医師の日比野佐和子氏が監修した『有栖川プロティン』は、600gで1万2,000円と高価格帯ながら、美容クリニックでシニア層から人気だという。また、サントリーや森永、コーワなど大手の健食メーカーからも、きな粉や大豆プロテインを配合したシニア向けプロテイン製品の上市が相次いでいる。高齢者向けプロテインの開発が今後ますます活発化しそうだ。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1774号(2023.10.18)で
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