特集【”冷え”対策~温活サポート~】 ”フェムケア”とも連動、さらなる成長に期待

 女性7~8割が抱える末端の冷え症状に加えて、最近では深部体温が低い「内臓冷え」にも注目が集まっている。特に後者は男女を問わず国民の6割が抱えているとされ、食生活や喫煙、運動不足など生活習慣の乱れをはじめ、冷たい食事や飲料の過剰摂取、化学繊維の衣類の多用、夏場の薄着などが原因と言われている。専門家の話では、深部体温が1℃下がれば免疫は3割以上、基礎代謝も1割ほど低下するなど、生命活動の低下を招く。冷えが万病のもとと、古くから言われる所以だ。なかでも昨今は夏場に猛暑が続く中、過度に身体を冷やす行為を行う人が多い。これが「冷え貯金」となり、冬場に風邪を引きやすくなる、自律神経が乱れるなど、様々な弊害をもたらす要因になると警鐘を鳴らす専門家も少なくない。

 

 一方で、近年は健康・美容のために日常的に身体を温める「温活」というライフスタイルが女性を中心に人気を集めている。身体を温めることによるメリットは、血行促進に伴う冷え症状の改善はもちろん、深部体温を上昇させ免疫力や自然治癒力、基礎代謝の向上、ストレスケアや快眠のサポート、発汗に伴う体内に溜まった老廃物のデトックス作用、さらに肥満やセルライト、むくみ、シミ・シワの予防、髪のパサツキの改善など――など、数え上げればきりがない。様々な企業やシンクタンクが実施する調査によると、温活の認知度は約7割となっており、積極的に温活を実践している人は概ね2割と、年々増加傾向にある。

 

 最近では、体内の血行を促進することで関節の可動域が高まる、脳内の血流を改善して認知機能が向上するなどのデータも発表されており、未病や予防介護対策としても身体を温めることが注目されている。また、身体を温めることで、体内で増加する「ヒートショックプロテイン(HSP)」の働きにも注目が高まっている。HSPとは、熱ショックタンパク質とも呼ばれ、入浴など全身加温によって体内に増加するタンパク質のこと。HSPには傷付いた細胞の修復、ストレスから細胞を守る、白血球(リンパ球)の増加やNK細胞の活性化――など、様々な生理作用が確認されている。ハードな運動を行うアスリートは、体内の活性酸素量が増加し、細胞や組織にダメージを負うケースが多いことから、以前からコンディショニングの一貫として、温熱ドームなどHSPを増やす機器類などを用いて全身加温を実践してきた。最近では、家庭でも手軽に体内のHSPを増やせる入浴方法などが、メディアでも紹介され、注目が高まっている。

 

 この他、乳酸菌や発酵食品の摂取による腸活と温活の組み合わせによる“腸温活”の人気上昇や、最近話題のフェムケア分野でも妊活や女性特有の不定愁訴の軽減に、温活を組み合わせるケースが増えており、よもぎ蒸しなどが人気を集めている。“温活+○活”が今後のトレンドとなりそうだ。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1774号(2023.10.18)で
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