特集【毛髪・頭皮ケア】 コロナ以降もホームケア需要が定着

 経済産業省の生産動態統計によると、2022年の染毛料を除く頭髪用化粧品の出荷額は、約1,500億円と引き続き大きな市場を形成している。コロナ禍では外出機会が減り、ホームケア需要が拡大。コロナ収束に伴い、特需の反動はあったものの、市場は堅調に推移している。昨今の毛髪・頭皮ケア市場を牽引するのは、中高価格帯のシャンプー・トリートメントだ。I-neの『BOTANIST』シリーズや『YOLU』シリーズ、ヴィークレアの『&honey』シリーズなどが広告宣伝を活用し、ブランディングに成功。ECサイト、セレクトショップなどで爆発的に販売を伸ばした。その後、ドラッグストアに販路を拡大し、中高価格帯のシャンプー・トリートメントを市場に定着させた。その流れに、大手化粧品メーカーも追随。大手ドラッグストア各社も中高価格帯のPB製品の販売を進めるに至っている。

 

 また、コロナ禍によるホームケア市場の拡大を受け、洗髪だけではなく、髪の補修や頭皮の保湿などのケアも必要という考え方が、一般消費者にも浸透。商品群の多様化が見られている。市場では引き続き、髪と地肌に優しいアミノ酸、ノンシリコン、オーガニックのシャンプーの人気が根強い。最近は睡眠中の髪の美容ケアを訴求する『YOLU』(I-ne)や『Diane』(ネイチャーラボ)などが人気を集めている。他にもエティークをはじめ、ロクシタン、ラッシュなどの海外製品が中心だった固形シャンプー&トリートメント分野でも、国産品が徐々に増加。なかでも今年6月に国内大手の牛乳石鹸共進社が市場に参入。バラエティストアでのPOP展開などを通じて拡販をスタートさせた。SDGsへの対応を求められる中、固形シャンプー&トリートメントの台頭にも期待される。

 

 一方、コロナ禍の生活環境の変化を機に市場が開花したのが、アウトバス製品だ。シャンプー&トリートメント後の髪への栄養成分の補給や地肌ケアを目的に、ヘアオイルやヘアミスト、ヘアバームなどの上市が相次いでいる。毛髪・頭皮ケア市場の活況を受け、ヨウ化ニンニクエキス『IG-Ex』(近代化学)、天然由来成分抗白髪原料『ARCOLYS®』(樋口商会)、海藻由来アップサイクル原料(シー・アクト)などの頭皮環境に優しい機能性素材、話題のヒト幹細胞上清液をヘアケア用途に提案する化粧品原料サプライヤーも見られるなど、原料開発・提案も活発化している。また近年は、体内から髪や頭皮ケアにアプローチするサプリメント開発も進んでいる。ノコギリヤシ油、松樹皮エキス、など6種の植物由来素材を独自配合した『ナトゥールシン・ビュリクシール』(ウィルファーム)、ケラチン(ケラテック)、水素(ファースト)、ヒシエキス(林兼産業)などの原料が流通。各社、毛髪・頭皮ケアに対する有用性データを取得し、市場に提案する動きも活発化。今後、同分野でのサプリメトの台頭も期待される。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1772号(2023.9.20)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら