【話題追跡】 サプリ会社、ドーピング巡り賠償請求

 サプリメントの販売元(テクノサイエンス㈱)が、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)などを相手取り民事訴訟を起こしたことが本紙取材でわかった。事の発端は4年前に遡る。競泳のジャパンオープンに出場した選手がドーピング検査で陽性に。禁止物質“オスタリン”がテクノサイエンス㈱のサプリから検出されたとする結果が示された。なぜこのタイミングで民事訴訟に至ったのか。同社はJADAから通告を受けた後、「自社製品に医薬品成分“オスタリン”は入れていない、日本に流通しない非天然の化学合成成分のため混入する余地もない」と抗議。通告後、同社が米国と英国の3社の分析機関に依頼し調査したところ、いずれも定量限界(2ng/mL)で測定不能だったことが判明。JADAに対しドーピング分析資料の公開を求めた。

 

 双方のやりとりが文書にて複数回行われたものの決着に至らず。テクノサイエンスでは、風評被害に伴う取引中止、プロスポーツチームの契約解除が続き、民事訴訟に踏み切った。原因の認定・周知に関わったJADA、日本スポーツ仲裁機構、日本水泳連盟に損害賠償と謝罪広告を求めている。この件について、本紙がJADAに問い合わせたところ、「係争中のため詳細なコメントは差し控える」としている。この製造を受託した某大手醤油メーカーのグループ企業(FSSC22000取得)は、「食品に医薬品を入れることは薬機法上あり得ない。保管分を分析したが約200種類の禁止物質は全て陰性だった」と否定している。

 

 このドーピング問題は不可解な点も多い。ドーピング陽性となった選手は約10種類のサプリメントを服用していたが、検査は同社サプリのみ日本国内で分析され、残りの製品はアメリカで検査された。国内検査分は選手が分析機関に持ち込んだとも噂される。分析機関への取材では、「ISLに定められたWADA認定分析機関の倫理規定により、アスリート個人や団体の依頼を受け、陽性回避もしくはその利益になるような検体分析を実施することは禁じられている」という。同選手へ直撃したところ、「コメントは差し控える」とした。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1772号(2023.9.20)で
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