特集【雑穀】 「咀嚼」「冷凍雑穀」「フェムケア・美容」提案活発

 「アワ」に新品種が登場した。2014年の「ゆいこがね」以来、9年ぶりの品種改良となった。食品製造事業者などによる調査では、「食感」「色合い」「風味」「味わい」の項目で高評価が目立つ。日本雑穀協会法人会員からは、「大変興味深く、当社でも取扱いたい」「うるち粟やもち粟と比較し、黄色の発色が非常に良い」「製パンや雑穀ミックス、和菓子の彩りにピッタリ」「非常に味が濃く、色合いも鮮やか」などのコメントが寄せられている。この品種は、岩手県農業研究センターが4年かけで改良したもの。従来品種「ゆいこがね」よりも鮮やかな黄色と大きさを実現した。このほか、機能性を高めていることも特長のひとつ。ゆいこがね比で最大40%アップした。今年3月には岩手県の推奨品種にも登録された。正式名称は11月に正式決定する見通しとなっている。

 

 外食・中食需要の回復を受け、雑穀の引き合いも活発化している。取材先からは、「コンビニのおにぎりに採用された」「もち麦は製菓関連などが好調に推移した」「パックご飯の商談が進んでいる」「外食の雑穀メニュー増を受け、引き合い好調。カフェで提供するパスタやパンに採用された」「もち麦は国産シフトが進んでいる」などの声が。最終製品では、「ミックス雑穀、単一雑穀が前年同月比を上回った」との声があった。こうした中、雑穀サプライヤーと外食とのコラボ企画も。㈱はくばくは、丸の内タニタ食堂と共同で「咀嚼」をコンセプトとした週替わりメニューを期間限定で提供した。咀嚼回数が増えることを訴求し、おにぎり1個(50g)食べ切る咀嚼回数は、「白米比で7 割以上が増加した」という。このほか、「冷凍雑穀」を強化する動きも見られ始めた。㈱旭食品では、「冷凍雑穀」の業務用展開に注力。レンジアップによるハンドリングを訴求ポイントに、利用の裾野拡大に取り組んでいる。

 

 ビタミンEやポリフェノール、食物繊維が豊富な雑穀は、美容を意識するユーザー層の需要も取り込んでいる。㈱種商は8月、新商品『美と巡りの黒米雑穀』を上市、「女性の心と体をケアできるよう栄養価にこだわった」という。女性のニーズに特化した栄養素として、ポリフェノール、大豆イソフラボン、食物繊維、鉄を選定。黒米、黒大豆、黒ゴマをメインに、オーツ麦やアマランサスなどを配合した。㈱セイシン企業は、『国産醗酵焙煎16雑穀パウダー』について、インナービューティーや低GI食品としての提案を進めている。特許取得の醗酵技術でロイシンなどの遊離アミノ酸を増加。「発酵することでアミノ酸などの栄養素を向上させた」という。つづく

 

 

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