特集【関西受託ガイド】 関西圏受託メーカーの“+α”に注目

 本紙が実施した2023年上半期の健食受託市場調査によると、関西の2府2県(大阪、京都、兵庫、奈良の計25社)の上期の売上増減率は52%が伸長、下期見通しでは、64%が増収見込みという結果に。下期に増収を見込む企業からは、「海外受注が増加している」「コロナの沈静に伴う受注数量の回復」「オリジナル原料、半製品、製品の受注が伸長した」などの声がある。特徴的な点は、昨年、下期9割が経営状況について「良くなる」と回答していたが、今年は「どちらともいえない」が大多数を占めた点。「従来経験したことのない市況で先行き不透明」「健食需要増で売上確保の要素はあるが、利益面で減少の可能性が懸念材料」「法改正の影響含む機能性表示食品制度の動向次第」などの回答があった。

 

 こうした中、受注好調な企業では、差別化原料の開発や、設備増強含む製造技術、機能性表示食品の届出支援やOEM供給、販売・卸などの出口戦略サポート、越境EC含む海外案件対応といった、「受託+α」の取り組みに力を入れている。関西受託メーカーの受注が増えている剤形のトップ5は「粉末」「錠剤」「ドリンク」「ハードカプセル」「ソフトカプセル」。「粉末」については、原料特性を生かした殺菌方法で植物の特性を最大限に引き出す受託加工により、数十種類におよぶ国産野菜の提案も見られ、健康食品だけでなく、医薬品や漢方、一般食品まで幅広い分野で採用されている。YouTubeチャンネルを開設し、オリジナルレシピを公開するなど新たな販促提案も進んでいる。原料の加工・栽培技術の提供や有効資源の活用など、地域産業の振興と経済活性化に繋げている受託メーカーも活躍している。

 

 「錠剤」では、特殊錠剤の製造も可能な、約半世紀にわたって手掛ける専業受託メーカーが活躍。青汁で機能性表示食品の届出が受理され、OEMを強化。摂取量でヘルスクレーム内容が変わる錠剤などの受理も見られる。「ドリンク」では、コロナ禍で停滞していた飲料案件の再開や、製薬メーカーからの新規案件などが堅調に推移。素材としては、「プロテイン」「コラーゲン」「ショウガ」「乳酸菌」「青汁素材」などが受注上位にランクイン。高濃度配合技術、粉末の殺菌技術と風味の安定したエキス製造など、受託メーカーによる“+α”がアドバンテージになっている。新たなトレンドとしては、使い切りタイプの容器成型同時充填や、アルミパウチ充填などの需要も増加している。

 

 機能性表示食品については、関西受託メーカーの32%が「制度に応じた対応を行っている」と回答。具体的な届出サポートは、「SRの作成」や「申請書類の作成」が多く、快眠系やダイエット関連、認知機能、アイケアなどの届出サポート実績が見られる。「消費者にとってわかりやすい」「市場の認知度がアップしてきた」「消費者の選択肢が増える」「今後の差別化を図る上で欠かせない」など制度を評価するコメントは多い。24%は「対応準備中」としており、昨年から8ポイントアップ。今後も拡大が見込まれる。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1771号(2023.9.6)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら