【話題追跡】 22年健食輸出、前年比44%増「日本製」依然人気

 財務省の貿易統計によると、2022年の1年間、日本から海外へ輸出されたサプリメントや健康食品の輸出額は、331億3,000万円に上った。前年比44%増と大幅に増えており、Made in Japanのサプリメントや健康食品は、国際競争が激しくなった今も高い人気を維持していることがうかがえる。健康食品の輸出入の統計は財務省により2021年1月から取られるようになり、動向がはっきりわかるようになった。ベトナムをはじめ前年比で約2倍に急増している輸出先も多い。

 

 輸出品は通関の際に品目により「HSコード」が割り当てられ、統計が行われる。サプリメントや健康食品専用のHSコードは、業界を中心とした要望に応える形で「栄養補助食品」(HSコード2106-90-300)として、2021年1月から統計が取られ始めている。農水省の担当者によると、機能性表示食品、トクホを中心としたサプリメントや、機能性を謳う、いわゆる健康食品が分類されているという。ただし分類は税関での判断となるため、エナジードリンク等は清涼飲料水としてカウントされている可能性もあるという。越境ECを通じて輸出された物の一部も、このカテゴリーに含まれる。

 

 「栄養補助食品」の輸出額の推移を見ると、波はあるものの全体として大きく成長を続けている。2022年の国・地域別の栄養補助食品輸出額は、多い順に中国(167億5,000万円)、台湾(56億6,000万円)、香港(46億8,000万円)、ベトナム(28億2,000万円)、米国(8億3,000万円)となった。前年比の伸長率は、多い順にベトナム(94.1%増)、中国(85.5%増)、台湾(75.5%増)。ベトナムへの輸出が増加していることについて、輸出サポート企業の担当者からは、「日本製品がまだ出回らず、消費者の目に新鮮に映る。マーケットが伸びる中でチャンスが大きい」「日本製品に対する安心感がある」「日本製の乳酸菌サプリが人気で、ヒット製品が生まれている」といった声が聞かれた。

 

 また、中国への輸出が増加していることについて、輸出サポート企業の担当者からは、「ピロリ菌に対する機能性を持つ乳酸菌サプリが人気」との声、「インバウンドで購入した商品を越境ECで再度購入する例が多く、コロナ禍中に越境ECでの購入が増えた」という声も。台湾への輸出については、「所得が高く、日本製品への信頼が厚いためハイエンド商品が売れる」「健康意識が高く、ナチュラル、ビーガン、添加物フリーといった自然派の商品が伸びている」という声が聞かれた。本紙が今年5~6月に全国の健康食品受託製造企業に行った調査(有効回答133社)でも、「主な供給先の国・地域」は、多い順に中国(57社)、台湾(49社)、ベトナム(46社)、香港(29社)となり、傾向が一致している。「輸出の割合が増えている」と回答した企業は59%に上り、貿易統計での輸出額増加を裏付けている。ただし2023年は処理水排出に対する過剰な政治的反発の影響も考えられる。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1771号(2023.9.6)で
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