別冊特別企画【エイジングケア】 ウェルビーイングをテーマに健食・コスメ脚光

 総務省「人口統計」によると、令和4年10月1日時点の日本の総人口は1億2,495万人。その内65歳以上の人口は3,624万人で、高齢者の総人口に占める割合は29%となった。2025年には30%を超えることが予想されている。高齢者の増加に伴い、年金や社会保険料など現役世代への負担は、年々膨らみ続けている。15〜64歳の生産年齢人口が1人の高齢者を支えるのに掛けられる人数は2.1人となり、高齢者1人を4人で支えていた2000年と比べ半減したことになる。

 

 医療費の削減が日本の課題となって久しく、その対策の一つとして健康長寿の延伸に産学官挙げて取り組んでいる。こうした中、健康産業の役割は大きく、健食および化粧品業界では、エイジンケア向けの製品開発が活況を呈している。実際、美容に関する機能性表示食品の受理数は増加傾向で、化粧品分野でも幹細胞培養液やNMN、その他新規成分の化粧品の上市が目立つようになった。

 

 クロス・マーケティングが今年7月、20〜69歳の女性5,252人を対象に実施した「女性のエイジングケア実態調査」では、老化が気になる部位では、「シミ」が44.2%、「ほうれい線」が41.5%、「白髪」が39%だった。また、全体の29.1%が「アンチエイジングもしくはエイジングケアを取り入れている」と答えた。さらに、マイボイスコムが行った10〜70代男女10,223人の「アンチエイジング」に関するインターネット調査では、アンチエイジングの具体的な実践について「ウォーキングなど」が37.6%で「スキンケア用品・化粧品の利用」が36.1%、「サプリメント・健康食品の摂取」が35.2%となった。エイジングケアに対して健康食品・化粧品の利用が定着している様子がうかがえる。

 

 2022年の美容サプリの市場規模は、コラーゲン、ヒアルロン酸、プラセンタなど定番素材だけ見ても前年比を上回っており、インナービューティ市場の拡大が見て取れる。本紙が6月に健康食品受託企業に行ったアンケート調査(有効回答数133社)では、人気素材ランキングにNMNが2位に、コラーゲンが4位、プラセンタが6位につけるなどエイジングケア素材が上位を占める。さらに、受注が伸びている商品カテゴリーでは、美容・美白が67票と1位を獲得。エイジングケア商品の人気の高さが見て取れる。

 

 化粧品市場でもエイジングケアは人気カテゴリーだ。本紙が6月に化粧品受託企業に行ったアンケート調査(有効回答数117社)では、幹細胞培養液(ヒト・植物含む)、ナイアシンアミド、ビタミンC、コラーゲンなどエイジングケア素材が上位にランクイン。7.5割が下期増収を見込むことから、新型コロナで苦戦を強いられた化粧品市場が回復傾向に向け力強い足取りをたどっている。特に、同アンケートの人気受注素材ランキングおよび下期人気予想素材では、幹細胞培養液が1位と4年連続首位をキープした。エステや通販企業に行った取材では、幹細胞培養液の化粧品は、1ヵ月1万円以上の製品が多い中、ヒット商品も生まれている。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1770B号(2023.8.16)で
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