ZOOM UP【海外進出サポート】 健食輸出額は前年比170%以上、台・越・中市場へ進出加速

 国内の健康食品市場は、本紙の推計で前年比1.5%増の約1兆2,900億円(2022年)となった。2005年に記録した1兆2,850億円を17年ぶりに更新したが、売上高の増加には物価上昇が含まれており、原料やエネルギーのコストアップは企業の利益を圧迫している。一方で海外に目を向けると、2022年のサプリメント世界市場は、コロナ特需が落ち着いたにも関わらず、5.8%増の1,761億7,000万ドルに拡大。伸び率は日本市場の1.5%を大きく上回る。こうした中、輸出に注力する国内の健康食品企業は増加傾向が続いている。本紙が6月に行った健康食品受託製造企業の調査(有効回答133社)では、62%が「海外向け(越境EC含む)受託を行っている」と回答、「計画中」と合わせると66%と、7割近くに及ぶ。

 

 農水省によると2022年の国・地域別「栄養補助食品輸出額」は、多い順に中国(167億5,000万円、前年比85.5%増)、台湾(56億6,000万円、同75.5%増)、香港(46億8,000万円、同7.5%減)、ベトナム(28億2,000万円、同94.1%増)となった。中国、台湾、ベトナムは前年比70~90%以上の大幅成長となっている。今回取材を行った海外進出サポート企業の担当者からは、進出しやすい国・地域として、台湾を挙げる企業が複数あった。所得が高く親日国で、日本製品への信頼が厚い。「健康に気を遣う人が多く、美容意識も高い。サプリ、化粧品共にナチュラル、ビーガン、添加物フリーといったコンセプトの商品が好まれる」。サプリでは特に、免疫や血圧、化粧品では美白のジャンルは売れ行き好調だという。ただし、「ローカルブランドも洗練されているので、特徴のある製品が求められる」という声も聞かれた。

 

 また、複数の海外進出サポート企業担当者から、ベトナム進出の可能性の大きさを挙げる声が聞かれた。「日本製品がまだ出回らず、ブルーオーシャン。マーケットが伸びる中でチャンスだが、世界中の企業が進出を狙っているので、早く動くと有利」という声も聞かれた。サプリでは乳酸菌に人気があり、化粧品では保湿・潤い系が好まれる。注意点として、発酵食品の規制は厳しいため、輸出には事前確認が必要だという。

 

 一方、中国市場は競争が激しくなっており、「健康食品、化粧品は韓国製品や欧米製品の進出が著しく、差別化できる製品でないと売れない」という声が聞かれた。サプリでは葉酸等、妊活サプリの需要が高く、ピロリ菌に対する機能を持つ乳酸菌サプリも人気となっている。化粧品は潤い系が好まれる。ただし「チャイナ・ファースト政策もあり、規制が厳しいため敬遠する」という声も聞かれた。一方で、「SNS、KOL、口コミはじめ、効果的なプロモーションを行えば認知度が高まり、売れる」という声もあった。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1770号(2023.8.16)で
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