特集【北陸企業ガイド】 健食・化粧品製造拠点として、高まる存在感

 農海産物を中心に豊富な地域特産品を持つ北陸3県(富山県・石川県・福井県)。医薬品、発酵食品など地場産業を基礎とした技術力に優れたメーカーも多く、富山大学や富山県立大学、金沢大学、福井大学などのアカデミアも充実している。各地域では近年、産学官連携による地域特産品の機能性研究から、オリジナリティに溢れた健康食品・化粧品素材および最終製品の開発にも注力。数多くの商品が誕生している。今回の取材では、コロナ禍の収束を受け、海外案件が伸長している健食受託企業、機能性表示食品ODM事業が好評の企業、猛暑を背景に経口補水製品で存在感を高める企業、地域資源を活用した機能性表示食品の開発を推進する企業――など、業績を伸ばす企業も多く見られた。

 

 「とやまの置き薬」で知られる富山県の医薬品生産金額は全国5位。医薬品関連企業が100社以上在籍するほか、医薬品工業の発展に伴い、容器・包装資材、パッケージ印刷等の周辺産業も盛んだ。一方で、ここ数年、製薬業界で相次ぐ不祥事により、県内でも複数の医薬品製造企業が行政処分を受けるなど、製薬業界は揺れに揺れている。こうした中、家庭薬や配置薬の製造事業者の中には、健康食品の製造に業態を変える企業も見られる。もちろん、不祥事だけが原因ではなく、配置薬ルートでは近年、健康食品の売上が医薬品を上回っているケースも少なくないことから、必然的に健康食品の製造量が増えていることも一因にある。 

 

 富山県下には、粉体固形剤の製造に定評があるバイホロン、機能性表示食品ODM事業で頭角を現す協和薬品など、全国的に有名な健康食品のODM/OEM企業が本社工場を構える。その他にも、小ロットOEMが強みの明健舎やアニマート製薬、丸剤を得意とする渡邉薬品、充填包装に特化する啓伸―― など、数多くの健食受託メーカーが本社工場を構える。また、“水の王国”とも呼ばれる富山県では、立山連峰の伏流水や富山湾の海洋深層水など豊富な水資源を活用する飲料メーカーも多い。富山湾海洋深層水を用いた経口補水製品が好調の五洲薬品、健康・美容飲料やゼリーのODM/OEMメーカーとして知られるトンボ飲料、小ロット対応の八千代ドリンクス、喜八食品などが代表格。原料サプライヤーでは、アスタキサンチンのトップサプライヤーの富士化学工業、国産の食用α-リポ酸の製造を行う立山化成などが有名だ。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1770号(2023.8.16)で
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