ZOOM UP【注目の植物油】 新油市場300億円、家庭用の“サプリ的オイル”活用が伸長

 アマニ油、シソ・エゴマ油、米油、MCTオイルを中心とした「新油」の市場が拡大している。大豆、菜種を中心に世界的な原料価格の高騰が続く植物油市場では、大手各社による価格改定を強いられ、売上増も業務用の需要減となるなど苦戦が続く。こうした中、家庭用の「サプリ的オイル」の市場拡大が続いている。アマニ油では、抗メタボやダイエット系だけでなく美肌訴求の新たな機能性表示食品も8月に登場。フレイル関連など新たな機能性の追求、化粧品原料への新展開といった取り組みが見られる。

 

 植物油は、歴史的な原料高騰に見舞われている。農水省「令和4年植物油脂の油脂(原油)生産量及び在庫量」によると、2022年の可食油は163万t、うち輸入は156万tを占める。近年は、バイオディーゼル向けなど世界的な食用油需要の増大や、北米、南米、欧州など原料生産国の天候不順、コロナ禍による人手不足や減産に加え、円安ドル高による原料調達コストの上昇、ロシアのウクライナ侵攻による穀物需給不安の高まりなども影響。かつてない世界的な原料価格の高騰に伴い、食用油最大手の日清オイリオグループをはじめ、J-オイルミルズなど大手各社では、昨年に続き、家庭用、業務用とも安定供給を前提とした食用油の価格改定を段階的に実施している。

 

 日清オイリオグループの定点調査(『インテージ社SCI-pデータをもとにした日清オイリオグループ推計』)によると、アマニ油、エゴマ・シソ油、米油、MCTオイルを中心とした「新油」の2022年度の売上高は約300億円(前年比6.7%増)、アマニ油76億円(前年比4%減)、シソ・エゴマ油37億円(同8%減)、ココナッツオイル8億円(19%減)などが苦戦する中、米油160億円(同23%増)、MCTオイル18億円(同36%増)が伸長。内食化率の高まりを受け、オイルで味つけする“サプリ的オイル”としての提案が定着している。機能性表示食品『日清MCTオイル』ユーザーの使用上位は、サラダ、味噌汁、コーヒー、スープ、ヨーグルト、納豆、パスタ、野菜ジュース、ラーメン、オートミールと多岐にわたる。新たにMCT配合の機能性表示食品として、マヨネーズタイプとドレッシングソースシリーズも上市。産学官連携でフレイル・プレフレイルに着目した技術革新も進めている。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1769号(2023.8.2)で
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