特集【関東受託ガイド】 関東で選ばれるための受託「+α」に注目

 関東圏の健食受託メーカーでは、SDGsへの取り組みが進んでいる。本紙が実施した2023年上半期の健食受託市場調査では、「SDGsの実施」46%に対し、関東圏に限定すると53%と7ポイント上回る。実施内容は、「ソーラー設置」「環境対応パッケージ」「動物由来原料から植物由来原料への切り替え」「原材料の廃棄削減・製造残渣再利用」「カーボンニュートラル都市ガス・電気の導入」「工場の遮断性を高め、空調効率を上げてエネルギー消費量を削減する」など。また、一次加工から最終製品までで関連案件の多い機能性表示食品の製造に関しては「差別化がしやすい」「消費者に分かりやすく一定の愛用者獲得に繋がりやすい」「市場の健全化、活性化に繋がる」「購入判断上、有意義」など評価するコメントが多い。なお、ペットサプリは35%が対応しており、うち75%の受注が伸びている。

 

 人材不足や資材高騰に悩む声が多い中、関東圏の受託メーカーによる現状や課題の自由回答では、「品質を高める。低いと今後淘汰されていくのでは」「様々な剤形の製品が求められるため、協力工場含め柔軟な製品開発を目指す」「より大きな案件に繋がるよう、要望や無理難題にも対応していく」など前向きなコメントも。受注動向では、「宣伝講習販売向けが復調してきた」「インバウンド向け受託が回復傾向にある」「リピート品の急な受注が増えた」「グミやペットサプリ関連の案件が増加している」「コロナ前同程度に数量や回数が復調してきている」などのコメントが多かった。

 

 関東圏の健食受託メーカーでは、産業集積の多様性も活かしながら、顧客の悩みに自社の強みを掛け合わせる“イノベーション型”の提案が発展している。製薬や製菓、化粧品、酒造など異業種からの参入も多く、関東圏で事業を継続するには、全国的にも高い地価や、それに伴う固定資産税、人件費といったコストを踏まえ、生産性や独自性を高めなければ生き残れない。受託+αの戦略では、機能性を追求したオリジナル原料の供給や製品OEMを手掛ける企業が攻勢をかけている。また、「健食GMP」や「FSSC22000」「HACCP」など品質向上に関する認証取得のアピールや、今後拡大が見込まれる海外展開を視野に入れたハラール認証・コーシャ認証の取得のアピールも見られる。このほか、製品開発案件が多様化する中、新規参入企業や新商品開発・リニューアルなどで課題となる処方設計や物性評価に対応した食品受託支援サービスや、粉末受託加工の付加価値を支援する新たな事業者も登場している。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1769号(2023.8.2)で
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