特集【CBD(カンナビジオール)】 法改正により、健全な活用に期待

 CBD(カンナビジオール)は、大麻草から抽出されるカンナビノイドと呼ばれる天然化合物で、抗炎症、睡眠の質向上、リラックス効果、整腸作用など、様々な機能性を有する。CBDの生体機能は、体内のエンドカンナビノイドシステム(ECS)に働き掛ける重要な役割を持つ。ECSは、カンナビノイド受容体と内因性カンナビノイドと代謝酵素で構成される。カンナビノイド受容体には、脳と中枢神経に働き掛けるCB1受容体と免疫系に働き掛けるCB2受容体があり、CBDは、各受容体に間接的に働き、健康機能を促進させる。THCは、両受容体に直接結合し、神経作用を発現させる。THCの長期摂取により、記憶や認知に障害を及ぼし、精神障害を発症するなどの健康被害を生じる可能性があるとされている。

 

 CBDを配合した健康食品や化粧品など関連製品は、2013年頃から日本の市場でも見られるようになったが、製品開発や流通が本格化したのは2018年頃から。本紙が毎年、健食・化粧品受託製造企業を対象に行っている人気受注素材ランキングでも上位をキープしている。市場には、CBDオイルを筆頭に、サプリメント、グミやチョコレートなどの製菓、ドリンク、化粧品ではボディクリームやシャンプーなどが流通している。これだけの機能性や話題性がありながらも、市場拡大ペースが緩やかな要因には、大麻取締法による部位規制が1つのハードルとなっている。また、世界各国で独自の法律を設けており、輸入に頼っている日本にとって、手続きが煩雑な点も影響されている。

 

 日本では、1948年に設定された大麻取締法により、成熟した茎および種子を除く大麻草の所持・使用が禁止されている。つまり、CBDは、THCはもちろん、CBDの含有量が少ない茎と種からしか採取できない法律となっている。欧米の例や部位規制が効率的でないことに加え、国内の麻文化を継承していくために、政府は法改正を検討。2021年より「大麻等の薬物対策のあり方検討会」を設置し、これまで8回、2022年からは「大麻規制検討小委員会」を設置し、5回にわたって議論を進めてきた。大麻取締法の改正時期は明言されていないが、業界関係者の間では、今年中、もしくは2023年の春頃までには改正されるのでは、と予想されている。

 

 部位規制が変更されれば欧米のケースを参考に、収穫時に、THC濃度0.2~0.3%程度の大麻草を茎だけでなく、花穂や葉からも抽出できるようになる。また、最終製品も健康被害がない範囲で、これまでのTHC検出限界値が引上げられる可能性も出てきた。この時期を見据え、大手企業も動向を注視している。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1768号(2023.7.19)で
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