【オピニオン】 今一度主張する、「安心して販売できる仕組みを」

 機能性表示食品制度の基本的な考え方の中心にあるのは「消費者の誤認を招かない、自主的かつ合理的な商品選択に資する表示制度」である。“事業者の責任”で機能性を表示できるものとして活用が進み、届出者数は1,600が見えてきた。民間企業にとどまらず、個人や自治体などの届出もある。この制度に期待する企業・団体・個人等がこれだけいるのである。今回の措置命令は、文字通り業界にとって激震となった。消費者庁が受理した届出資料を、消費者庁が根拠として認めなかった。しかも3成分全てで。

 

 届出表示の逸脱は確かに問題である。この点は業界団体でも広告自主基準を策定し、適正化に努めている。届出資料は原則公開され、外部から疑義を指摘されるケースもある。事後チェックも行われる。差戻しの段階で、科学的根拠に対する指摘が行われるケースも企業からよく聞く。不備とするならこの過程で指摘できなかったのか。昨年の脳機能表示への改善指導があった際、「企業が安心して販売できる仕組みを」と書いた。この仕組みづくりの検討を改めて提唱したい。

 

 制度は改正に改正を重ねて9年目を迎えた。そしてこの制度は冒頭に書いたことを基本的考え方としているが、忘れてはならないのは、スタートは“規制改革”だ。2013年6月14日に閣議決定した規制改革実施計画は、「規制改革は、我が国の経済を再生するに当たっての阻害要因を除去し、民需主導の経済成長を実現していくために不可欠の取組であり、内閣の最重要課題の一つである」という一文から始まる。その計画の中に「一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備」が盛り込まれ、2015年4月に制度が創設された。

 

 2019年6月21日閣議決定の規制改革実施計画では、「機能性表示食品を製造販売する事業者の事業活動を萎縮させないよう」、どのような場合に景表法による処分対象となるのか、ガイドライン等で考え方を整理、法執行方針を明確化する方針が打ち出されている。2020年3月には「事後チェック指針」が策定された。何もすべて自由に表示させるべきなどと言っているわけではない。科学的根拠は重要だ。求めるのは、繰り返すが「企業が安心して販売できる仕組み」だ。企業の“萎縮”を招かずに。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1768号(2023.7.19)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら