消費者庁、機能性表示食品で科学的根拠の再検証を要請

 6月30日に措置命令が出されたさくらフォレストの機能性表示食品2品は、DHA・EPA(中性脂肪対応)、モノグルコシルヘスペリジン(血圧対応)、オリーブ由来ヒドロキシチロソール(LDLコレステロール対応)を含む『きなり匠』とDHA・EPA(中性脂肪対応)を含む『きなり極』。「血圧をグーンと下げる」という届出を逸脱した表示があったほか、「中性脂肪を低下させる機能性取得」などの表示があった。消費者庁は景表法の規定に基づき、根拠資料の提出を要求。同社からは「機能性表示食品の届出資料」を含む資料が提出されたが、消費者庁では合理的根拠として認めなかった。DHA・EPAの配合量は、『きなり匠』が400mg、『きなり極』が500mg。

 

 同日行われた記者レクで消費者庁では、根拠資料は配合量の倍近い量で検証された論文が大半だったことや、少ない量で効果があるとの論文があった一方、否定的論文もあったことを理由に挙げた。モノグルコシルヘスペリジンについては、減塩醤油との併用であることが加味されていないことを指摘。オリーブ由来ヒドロキシチロソールについてはデータ解析等の仕方が不適切とした。消費者庁では再発防止策を講じることや、「今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、同様の表示を行わないこと」などを命じた。消費者庁はこの2品と同一成分・同一根拠の88品をピックアップし、個別に科学的根拠の確認作業を開始。7月3日、2週間以内に回答するよう届出者に通達した。

 

 さらに消費者庁は7月3日、機能性表示食品の「届出資料の再検証」を求める文書を、健康食品産業協議会、日本健康・栄養食品協会、日本抗加齢協会、日本チェーンドラッグストア協会、日本通信販売協会の5団体に通知。あわせて、届出資料の作成・提出にあたっては、届出ガイドラインや事後チェック指針等に基づき適切に行うよう求めた。再検証の対象は「すべての機能性表示食品」。届出後、新たな科学的根拠が示される可能性もあり、再検証の実施は“随時”としている。健康食品産業協議会では7月11日、関係各位に対し、通知を踏まえた再検証を依頼。また、届出ガイドラインの一部改正案では、研究レビューの国際指針「PRISMA声明2020」への準拠が盛り込まれるとして、確認するよう依頼した。つづく

 

 

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