特集【血流改善サポート~夏の冷え対策~】 3,000億円市場が射程圏に

 「血管は人体最大の臓器」とも称され、全身に張り巡らされた血管を繋ぐと約10万km、血管を構成する内皮細胞の面積は約7,000㎡にもなると言われる。その血管を通る血液は、全身を隈なく巡り、臓器や細胞に酸素や栄養素、ホルモンなどを運ぶと同時に、二酸化炭素や老廃物、有害物質を回収する。さらに、体内に侵入してきたウイルスやカビなどの異物を排除する免疫系を司るなど、生命活動において重要な役割を果たしている。血管を健康に保ち、血液を全身隈なくスムーズに流すことは、エンジングケア、健康寿命延伸において欠かせない要素となる。近年は、ゴースト血管の危険性や血管ケアの重要性に関して、TVなどメディアで取り上げられる機会が増えており、消費者の“血管ケア”ニーズも伸長している。

 

 血管ケアには、抗酸化・抗糖化作用のある食品・サプリメントの摂取など体の内側からのアプローチと、マッサージや温熱による体の外側からのアプローチが重要となる。健康食品・サプリメント分野では、血流や血管に関連する機能性表示食品が約350品受理されており、この1年間で約100品増加した。主な関与成分は、モノグルコシルヘスペリジン、イチョウ葉由来のフラボノイド配糖体およびテルペンラクトン、ヒハツ由来ピペリン類、ショウガ由来ポリフェノール(6-ジンゲロール、6-ショウガオール)、ナットウキナーゼ、コーヒー豆由来クロロゲン酸、カシスアントシアニン、カメリアサポニンB2――など。多くは、冷えにより低下した血流(末梢血流)の改善となり、脳血流の改善に伴う記憶力の維持、目の周りの血流量を増やす(ピント調節機能維持)、血圧降下などが続いている。2020年12月には、松樹皮由来プロシアニジンB1及びB3が「血管の柔軟性を維持に役立つ」との表示で受理された。以降、カツオ由来エラスチンペプチド、黒大豆ポリフェノールも同様に受理され、血管系の機能性表示食品は50品を超えている。

 

 一方、指圧効果や温熱効果を介して、体の外側から血流改善にアプローチするNon-Foods分野の動きも活発だ。厚生労働省の薬事工業生産動態統計によると、家庭用医療機器の中で血流改善や温活サポートに有効な商材の2022年の市場規模は、国内出荷金額ベースで約691億円。前年比3.8%増となった。浴用剤(薬用入浴剤)は約609億円。また昨年10月に新設された「家庭用遠赤外線血行促進衣」の対象となるリカバリーウェア市場規模は、日本リカバリー協会の発表で800億円を超えている。これらNon-Foods分野だけでも2,000億円を超える市場規模となる。さらに前述の健康食品・サプリメントと合わせると、3,000億円も射程圏に入ってきたことがうかがえる。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1764号(2023.5.17)で
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