来年設立70周年、NPO法人日本綜合医学会に聞く

 NPO法人日本綜合医学会(東京都千代田区)は、来年70周年を迎える。芦刈伊世子会長が思う玄米菜食について話を聞いた。

 

 我々は伝統を継承していく役割がある一方、時代の変化に柔軟に対応していくことも必要と捉えています。70年前の会報誌には、様々な健康法のほか、ホメオパシー、スピリチュアル、漢方・針灸・食養等による難治性疾患2、3の治験、失われた自然塩といった記載も見受けられました。科学的思考よりも、これは良いと思ったものを広めていく姿勢が根底にあったように思います。

 

 幕末最後の食医石塚左玄が創始した玄米菜食は、肉や乳製品などをとらない食事法です。油分は玄米に含まれる米ぬか油で賄うことができます。天ぷらなど脂っこい食品の食欲を抑えるなど、結果的に脂質の過剰摂取を防ぐことに繋がっています。玄米は菜食に合うので、小魚まるごと1匹食べる、発酵食品を食べる、野菜を食べるなど、いわゆる“まごわやさしい”(豆・ごま・わかめ・野菜・魚・しいたけ・いも)を中心とした和食ベースの食事を推奨してきました。

 

 一方、玄米菜食に関心のある医師から「本当にこれだけで良いのか」との声が出始めました。日野原重明先生は100歳過ぎても元気に仕事に取り組まれておられましたが、あのような欲望を持つならば、玄米菜食では足りない。ある程度の年齢に達したら、高品質なタンパク質やビタミン、カルシウム摂取が必要不可欠といった視点です。現代の日本人の健康観はどんどん欲深くなっています。私が経営するクリニックでは、夜眠れないからと、95歳の高齢者が杖もつかずに来院します。70年前にはありえなかったことです。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1764号(2023.5.17)で
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