【話題追跡】 エッグショック、代替卵に商機到来

 鶏卵の卸売価格が上昇している。今年4月の価格は350円(1キロ・東京Mサイズ)で、昨年4月の211円から約1.7倍に跳ね上がった(JA全農たまご発表)。卵の値上がりは食卓のみならず外食や中食産業に様々な影響を及ぼしている。帝国データバンクによると、上場する大手100社の内29社で何らかの対策を講じているという(5月8日時点)。

 

 サイゼリヤは『煉獄のたまご』の販売を休止するほか、ランチメニューに付く目玉焼きをホウレンソウに順次変更していくと発表した。この需給バランスの乱れは鳥インフルエンザの感染拡大によるニワトリの殺処分や飼料代(トウモロコシ)の価格高騰が背景にある。今シーズン、殺処分の対象となった鶏は全国で約1,740万羽に。飼料のトウモロコシ高騰は、海外産でほとんどを賄う国内にとっても大きな打撃となった。

 

 卵価格がもとに戻る時期の見通しはいまだ立っていない。「供給回復は1年以上」とする専門家の報道もみられる。こうした中、植物由来の素材でつくるプラントベースエッグがにわかに注目度を増している。卵アレルギーやヴィーガン向けから、一般層へ利用の裾野が広がりだした。プラントベースエッグの『UMAMI EGG』は、コンニャク粉やニガリなどの日本食材を使用して開発したもの。卵のコクはフードロス素材のキクラゲから抽出し、発酵技術を応用した酵素を使用したのが特徴だ。引き合いについて、UMAMI UNITED JAPAN㈱の山﨑寛斗氏によると、「昨年対比で20〜30%の伸び率で増加している。業務用中心に引き合いが増加しており、製菓・製パンの大手企業中心に採用が進んでいる」という。

 

 カゴメ㈱は4月、プラントベースエッグ『Ever Egg』を上市した。ニンジンと白インゲン豆を原材料に使用したもので、独自技術の野菜半熟化製法(特許出願中)により、“ふわとろ食感”を実現。コレステロールゼロといったヘルシーさも訴求している。大手スーパーやヴィーガン・プラントベース食を提供する外食店を中心に流通しており、「メディア報道を機に問い合わせが増加している」という。つづく

 

 

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