【話題追跡】 42年ぶりに新設の「家庭用医療機器」、リカバリーウェア市場に与える影響は…

 リカバリーウェアと呼ばれる衣類の市場が急速に拡大している。遠赤外線を放射する鉱物を練り込んだ繊維を使用した衣類を指し、休養時や睡眠時に着用することで、遠赤外線の働きで血行を促進して筋肉のコリの改善や疲労回復が期待できるという。十数年前にベンチャー企業㈱ベネクスが第1号製品を発売して以来、大手スポーツウェアメーカーやアパレルメーカーも参入するなど、アスリートユーザーを中心に、広く一般ユーザーにまでに普及拡大。(一社)日本リカバリー協会の調査では、2019年には867億円の市場規模に成長、2030年には約6.5倍の5,642億円が見込まれると発表していた。

 

 一方で、80社を超える企業が参入し、なかには一般医療機器の届出を行い、交感神経を表示した製品も流通する。ところが、この一般医療機器に対して、不適切な届出が長年放置されてきた。複数の企業が「温熱用パック」として届出を行い、医療機器として販売してきたのだ。そもそも温熱用パックとは医家向け医療機器の名称で、一般医療機器には認められていない。ただ一般医療機器はPMDA(医薬品医療機器総合機構)に届出すれば製造が可能な上、届出に対する審査プロセスがない。一般医療機器を謳った多くの企業がこの盲点を突いた。

 

 効能効果を表記する医療機器と一般医療機器が市場に混在するアンフェアな状況が長年続いてきたが、厚生労働省は昨年10月11日、リカバリーウェアに対して、一般医療機器「家庭用遠赤外線血行促進用衣」として取り扱うことを発表。42年ぶりに家庭用医療機器の新たなカテゴリーが誕生した。これにより、温熱用パックで届出を行っている製品は、今後1年間の移行期間の間に、「家庭用遠赤外線血行促進用衣」として届出し直すか、届出を取り下げるかの選択を迫られる。(一社)日本ホームヘルス機器協会の山本会長の話では、新設の医療機器の届出は、臨床試験など非常にハードルが高まったため、多くの企業が届出を取り下げる方針とのこと。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1763号(2023.5.3)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら