特集【コエンザイムQ10】 機能性表示食品は60品超に

 CoQ10は、2001年3月の食薬区分の改正により食品として利用可能になり、健食業界では20年以上にわたり利用されている。市場では、「酸化型」と「還元型」の2種類のCoQ10原料が流通。「酸化型」は、体内で還元型に変換され、各臓器に運ばれ利用される。乳化技術や包接技術により水溶化させることで、体内での吸収性を高めた原料などがある。「還元型」は、体内での変換の必要性がなく、そのまま体内で力を発揮するといった特長を持つ。

 

 還元型CoQ10では、世界で初めて大量生産技術を確立させたカネカおよび、ペトロユーロアジアの2社が原料供給を手掛ける。「カネカQH™」シリーズを国内外で展開するカネカは、海外向けの供給量が伸び、前年比2ケタ増を達成した。国内市場では機能性表示食品として、「疲労感の軽減」に加え、「お口の潤いに役立つ」「睡眠の質の向上」「一過性のストレスの軽減に役立つ」が表示可能になり、採用件数が増加。引き続き、新たなヘルスクレームでの届出に向けたエビデンスデータの蓄積を進めていく。

 

 「酸化型」の主な原料サプライヤーは、日清ファルマ、三菱ケミカルグループ、横浜油脂工業など。原料価格はキロ当たり6~8万円前後。三菱ケミカルグループは、中国トップクラスのCoQ10製造実績を誇る原料を取り扱い、安定供給体制を整える。横浜油脂工業は、ニーズに合わせて、乳剤・水溶化粉末・原末の3種5アイテムを取り揃える。新たな取り組みでは、水溶化コエンザイムQ10「アクアQ10」シリーズを手掛ける日清ファルマが、疲労分野における機能性表示食品の届出準備を始めた。同社では、受理実績をもとに機能性表示食品対応素材として提案し、BtoB事業の拡大に繋げていく。

 

 最終製品の傾向としては、CoQ10は一般消費者の認知が高いことからサプリメント以外にも飲料、ゼリー、グミ、ヨーグルト、チョコなど、様々な食品形態に利用されている。美容、エイジングケア、抗疲労、パフォーマンス向上などを訴求した商品が多い。最近は、加齢による卵子の質の低下がミトコンドリアのエネルギー産生効率の低下と関係していることなどから、妊活サポート、フェムケア商品での利用も目立つ。機能性表示食品の受理件数はこの1年で10品以上で、累計受理件数は60品を超えた。機能性関与成分は1品を除く全てが還元型CoQ10。カネカは昨年、グループ会社を通じて機能性表示食品のヨーグルトとドリンクを上市している。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1762号(2023.4.19)で
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