アジア各国で食品EC市場急成長、日本産健食・オーガニック食品に注目

 コロナ禍を機にアジア各国で食品EC市場が急成長している。健康志向の高まりや安全・安心を求めるニーズから、日本製の食品は製品のみならず、原料としても注目されている。農林水産省は3月22日、食産業に関する海外のトレンドに注目したセミナー「令和4年度第4回GFVC全体会合」をオンラインで開催した。シンガポール・タイ・ベトナム・台湾・中国の5ヵ国・地域において、特に注目すべきトレンドについて、農水省による事業者への情報提供事業として調査等に関わった野村総合研究所の各国・地域の担当者が発表した。

 

【ベトナム】

 ベトナムでは安全性を求めて、国外からの健康食品やオーガニック食品の輸入が盛んになっているという。国内では生産性の拡大、生産期間短縮に向けて、食品向けの過剰な添加物や防腐剤、残留農薬が問題化している。一方、ベトナムでは経済発展に伴い、生活水準が向上。健康に対する情報へのアクセスも盛んになり、食の安全性を重視する風潮が拡大。多くの人が食品表示ラベルをよく確認するようになったという。政府は食の安全性向上に向け「クリーンフード」として、安全な食の流通を推進する。GMPやHACCP、ISO22000といった規格取得がベトナムの食品メーカーに普及し始めており、食の安心・安全を売りにした食品事業者も台頭。日本の食品へのニーズも高まっている。また、若年層を中心に健康や環境問題への関心から、代替タンパク市場も成長が期待され、スタートアップ企業や外資企業の参入が相次いでいるという。

 

【シンガポール】

 シンガポールではハラル市場の成長が著しくなっているという。2021年の Crescent Rating社の調査で、シンガポールはムスリムの旅行客が渡航し易い旅行先第1位を獲得。特にコロナ収束に向けて、ムスリムの旅行客の「爆買い」によるインバウンド需要が伸長している。シンガポールでのハラル認証の取得は、国内唯一の認証機関である政府系のシンガポール・イスラーム評議会(MUIS)が行っており、国外からのオンライン申請を受け付けている他、国外の機関でハラル認証を受けた製品の国内流通を認めている。シンガポールでは、マレー系住民を中心とした国内のハラル需要と共に、インバウンドによるハラル市場の成長が期待されるため、ハラル認証の健康食品にはチャンスとなる。

 

【中国】

 中国ではEC市場の成長・成熟と共に、ECの運営サービスを行う専門事業者「Third Party(略称TP)」が台頭するようになった。TPは売れ筋商品の選択や、訴求ポイントの提案、SNSマーケティングといった周辺サービスも提供している。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1761号(2023.4.5)で
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