慶應義塾大学、水素吸入療法が院外心停止患者の救命および予後の改善に効果

 慶應義塾大学は3月22日、水素吸入療法を用いることで、院外心停止患者の救命および予後の改善に有効な結果が認められたこと発表した。東京歯科大学の鈴木昌教授、慶應義塾大学医学部救急医学教室の本間康一郎専任講師、同内科学教室の佐野元昭准教授らの研究グループが、慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート水素ガス治療開発センターの活動の中で、慶應義塾大学病院や京都第二赤十字病院、山口大学医学部付属病院など、国内15施設が参加した多施設共同二重盲検無作為化比較試験による結果をまとめたもの。3月17日に国際学術誌『eClinical Medicine』で公開された。

 

 試験は、心原性の院外心肺停止患者で、循環が回復したものの意識が回復しない患者73人を対象に、通常の体温管理療法を行うと同時に、人工呼吸中に2%の水素添加酸素を18時間吸入した群(水素群39人)と、水素を加えなかった群(対照群34人)とを比較。90日後の転帰について神経内科専門医により判定を行った結果、90日後に症状や障害がない状態になった割合は、対照群21%に対し水素群は46%、生存率は対照群61%に対し水素群は85%となり、統計学的有意差が認められた。また同臨床試験で、水素吸入に伴う明らかな副作用は見られなかった。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1761号(2023.4.5)で
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