【話題追跡】 新・疾病リスク低減トクホ機能性表示食品との棲み分けなるか?

 疾病名の表示が可能な「疾病リスク低減トクホ」。消費者庁は2月、疾病リスク低減トクホとして表示許可申請のあった3社の3品を消費者委員会に諮問したと発表した。申請されたのは「心血管疾患」「メタボ」「2型糖尿病」のリスク低減に対する表示。トクホは運用30年を過ぎたものの、ここ数年は存在感が薄れている。台頭する機能性表示食品との棲み分けの必要性も指摘される中、インパクトのある新たな表示で市場の再活性化なるか…。

 

 申請された保健の用途は、「歳をとってから心血管疾患になるリスクを低減する可能性がある旨」(マルハニチロ)、「メタボリックシンドロームの発症リスクを低減する旨」(花王)、「2型糖尿病の発症リスクを低減する可能性がある旨」(サントリー食品インターナショナル)――の3つ。関与成分・製品は、マルハチニチロがDHA、EPAとするフィッシュソーセージ。花王が茶カテキンとする茶系飲料、サントリー食品インターナショナルが桑の葉由来イミノシュガーとする茶系飲料。

 

 疾病リスク型低減トクホは、表示の選択肢を広げ、消費者に対して明確な情報を提供する観点から2005年に創設された。科学的知見により、関与成分の摂取による疾病リスクの低減が医学的・栄養学的に広く認められ確立されているものとして、カルシウム(骨粗鬆症)と葉酸(神経管閉鎖障害)が疾病リスク低減表示の関与成分として認められた。しかし許可実績は、カルシウムの12品のみで、2021年に販売実績があるのは3品にとどまる。

 

 トクホに関する部会活動や講習会などを行っている日健栄協でも、「事業者の関心はあったものの、個別申請の実績がなく、どのような手順で進めればいいのか、よくわからない状態にあった」という。同協会では、「有効性に関する複数の疫学的研究レビューを基本とする」「観察研究の存在を必須としない」など、科学的根拠に関する考え方として申請ガイダンス概要案を作成するなど、新規申請支援を実施してきた。「昨秋に3社が申請を行った。審査はこれからで、どう判断されるかわからないが、大きな一歩といえる」と話す。トクホ関連事業者からは、「機能性表示食品と棲み分けができ、差別化に繋がる」「メタボがOKになればロコモ・フレイルの可能性が高まる」「生活習慣病に関する既許可トクホを生かせるかも知れない」など、今後の動向に期待する声が聞かれた。つづく

 

 

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