特集【フェムテック】 健食企業「フェムテック」に参入続々

 生理、妊娠、更年期障害などをはじめ、女性の健康問題を改善する「フェムケア・フェムテック」分野(以下、フェムテック)が急速に成長している。フェムテックの普及には、女性の社会進出を促す政府の方針に、大手を中心とした企業が積極的に対応を進めたことも影響している。2022年4 月には「女性活躍推進法」が改正され、労働者数101人以上の企業に女性が働きやすい環境を整える努力義務が課され、女性の働きやすさを考える機運が高まった。経済産業省は「フェムテック等サポートサービス実証事業」として助成を行っており、特に法人向けのフェムテックサービスの導入が進んだ。この取り組みにより、福利厚生としてピルや生理用品が女性に利用されるようになった。行政が支援し、大手をはじめ多くの企業でフェムテックが導入されたことはヘルスケア業界に影響を与え、フェムテックが「新規産業」として期待されるようになった。

 

 健食業界でも注目が集まる中、2022年頃からは更年期、妊活サポート等を中心に、フェムテックを切り口としたサプリメントやオンライン相談サービスが続々と登場。大手健食企業の参入が著しくなった。ヘルスケア業界で機運が高まる中、一般消費者の「フェムテック」の認知度は「5.8%」(矢野経済研究所、2022年9月)であり、現状では健康意識の高い層のみが利用している実態も明らかになった。ただし最近では、大塚製薬、あすか製薬、明治はじめ、企業のWEBサイトやSNSによるフェムテック情報の発信が盛んになってきているため、製品の普及と共に、フェムテックに対する一層の拡大が見込まれる。

 

 フェムテック分野に活用される健食素材は、年々広がりを見せている。大豆イソフラボン、エクオール、ローヤルゼリー、米胚芽、マカ、麹抽出物、ザクロ、ヨモギ、レッドクローバー、クランベリー、乳酸菌、ケラチン、植物性オイル、松樹皮エキス、クロレラ――など多種多様。エクオールは、スーパーイソフラボンとも呼ばれ、女性ホルモン様の働きをすることから更年期症状の緩和、コラーゲンの生成促進をはじめ、女性の健康と美容に関わる幅広い機能性が研究されている。2022年に原料ベースで20億円の市場(富士経済・予測値)となっており、大塚製薬、小林製薬、アサヒグループ食品、ディーエイチシーをはじめ多数の企業が商品を展開している。大豆イソフラボンもエビデンスが充実しており、更年期サポートや妊活サポート向けサプリメントなどに利用が広がっている。つづく

 

 

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