ZOOM UP【β-グルカン】 免疫対策で引き合い

 長引く新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を背景に、免疫機能への関心は引き続き高まっている。コロナ禍で世界的にサプリメントの利用は年々拡大傾向にあり、特に免疫領域のサプリメントへの利用が進んでいる。インフォーマグループの米国業界誌NBJが発表した2020年の米国サプリメントビジネスレポートによると、免疫に関連した製品は前年比9.3%と大きく成長した。米国では免疫に関するヘルスクレームが早くから実現しており、“イミューンヘルス”として一定の認知がされている。なかでも酵母由来β–グルカンは免疫賦活素材成分として知られ、欧米では非常にポピュラーな成分となっている。

 

 現在、免疫力を高めることを目的としたβ-グルカンの食品利用は米国のみならず世界的にも拡大している。海外調査会社のグローバルインフォメーションが発表した市場調査レポート「ベータグルカンの世界市場」によると、食品や飲料、パーソナルケア、医薬品、栄養補助食品、動物飼料用途でのβ–グルカンの世界市場規模は2020年時点で4億380万ドルとしており、年成長率7.6%で伸長。2026年には6億2,830万米ドルに達すると予測している。レポートでは「より健康的な代替品への需要の高まりと、健康的な食材への消費者の嗜好の変化がβ–グルカンの需要と市場の成長を促進すると考えられる」と分析。“イミューンヘルス”としての引き合いはさらに強くなるという。

 

 一方、国内でもコロナの影響によって免疫機能についての関心は高く、食品による免疫対策は大ヒットしたヨーグルトドリンクや、最近では機能性表示食品の登場もあり、消費者認知も徐々に広がっている。酵母や細菌由来のβ-グルカンは免疫領域での有効性が確認されている実力素材だが、一般認知度は高いとは言えないのが悩みどころ。食品としてのβ-グルカンの有用性をいかに上手く発信できるかが今後の利用拡大のカギを握る。

 

 国内では、大麦由来β–グルカンを機能性関与成分とした機能性表示食品が受理されており、「腸内環境を整える」「コレステロールや血糖値の上昇を抑える」「糖質の吸収を抑制する」旨の表示が可能。これまでに41品が受理されている(撤回品を除く)。大麦β–グルカンに関する研究は、2000年代に入り加速した。米国では2006年より大麦やオーツ麦などβ–グルカンを含む食品に“心臓病の危険性を抑える”との限定的疾病リスク低減表示が認められ、またEFSA(欧州食品安全機関)においても“コレステロール上昇抑制”、“血糖値上昇抑制作用”の表示が認められるなど、酵母由来同様こちらも世界的に高い機能性が評価されている。つづく