特集【高麗人参】 新たな市場開拓始まる、キーワードは「免疫対策」「フェムケア」

 朝鮮半島を原産地とする高麗人参は、中国東北部やロシア沿海州にかけて自生するウコギ科の多年草植物。漢方では、「最も副作用の恐れがない上薬」に分類されている。日本で流通する高麗人参原料は、韓国産・中国産が大半を占めており、水耕栽培品のベルギー産(ベーガン通商)の流通も本格化している。市場にはドリンク、錠剤、エキス、カプセル、茶製品が流通している。2月には、LDLコレステロール対策表示で、高麗人参初となる機能性表示食品(紅蔘粉末スティック)が登場した。受理された表示は「抗酸化作用を持つジンセノサイドRg1、Rb1、Rg3には、血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が酸化され酸化LDLコレステロールになることを抑制させることが報告されています」。本紙の推計では、「滋養強壮・疲労回復」訴求の代表素材として安定市場を形成、コロナ禍における免疫対策素材としての特需(2020〜2022年)は落ち着いたものの、2010年以降の市場規模は概ね200〜250億円で推移している。

 

 さらなる市場拡大のカギを握るのは「免疫対策素材としての定着」と「フェムケア市場の開拓」だ。前者に関しては、コロナ禍においては、通販ルートで高麗人参が売れ筋に。DgS・コンビニルートでは、「免疫対策素材として再評価された」「外出自粛ムードの中、ホームサイズのドリンクジャンルでは、滋養強壮や免疫対策で、高麗人参配合商品が選ばれるケースが目立った」などのバイヤーの声があった。高麗人参の本場韓国では、韓国版トクホ(健康機能食品)で「免疫力」「更年期対策」などに関するヘルスクレームが認められており、高麗人参の代表的なサプライヤーでは、エビデンスの拡充を急ピッチで進めており、「日本の機能性表示食品にもトライしたい」としている。

 

 後者に関しては、男性向け商品としてのイメージが強い高麗人参ではあるが、“フェムケア”をテーマに、女性層に照準をあてた商品開発は10年以上前から始まっている。『くらしの和漢 高麗人参茶』(永谷園)、『高麗人参ミルクティー』(オルビス)、『高麗美人』(ていねい通販)、『正官庄シリーズ』(日本製粉)、『フラコラ 高麗人参つぶ5000』(協和)など。高麗人参の代表的な機能である血流改善作用を介した美容・冷え対策機能を活用した商品が多く、プラセンタ、セラミド、コラーゲン、エクオールの副素材として採用されるケースが目立つ。水面下では、大手飲料メーカーが呈味性を高めた高麗人参原料に着目、ペットボトルタイプの美容・温活飲料の開発を進めている。また、大手医薬品メーカーが早ければ年内にサプリメントで市場参入するという情報もある。韓国では高麗人参配合のコスメやフェイスパックなど、ノンフーズ分野での商品化も進んでおり、フェムケア市場が盛り上がりを見せる中、高麗人参の女性層開拓の進展に期待が掛かる。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1759号(2023.3.1)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら