【話題追跡】 沖縄県産、次世代の美容成分「タマヌオイル」商品化進む

 沖縄県で今、新たな地域特産品としてテリハボクという樹木の種子から搾油した「タマヌオイル」の商業化が進んでいる。テリハボクは元来、台風の多い八重山地域に防風林として入植された。街路樹や畑の周りに植樹されたテリハボクの種子は、熟して落ちると発芽して畑を侵食することから、農業従事者にとっては定期的に回収して廃棄しなければならない厄介者だた。食用に向かないこともあり、地元では「コウモリの餌」と呼ばれ、長年そっぽを向かれていたのが現状だ。

 

 このテリハボク種子から搾油した「タマヌオイル」の美容効果に着目した事業者や個人が、県下で商業化を目指す動きが、ここ数年活発化してきた。タマヌオイルはもともと、ハワイやタヒチなど太平洋諸島では皮膚疾患の伝統薬として古くから利用されてきた。その成分組成は、抗酸化成分のビタミンEの中でも特に効果の高いトコトリエノール、保湿成分の植物ステロール、紫外線防止・抗炎症成分のカロフィロリードなどを豊富に含有することが確認されている。また脂肪酸組成は、オレイン酸やリノール酸を主とする不飽和脂肪酸が70〜80%、パルミチン酸やステアリンを主とする飽和脂肪酸が20〜30%で、4種類の脂肪酸をバランス良く含んでいるのが特長だ。

 

 既に首里石鹸で知られる㈱コーカスや、ナチュラルコスメの有力メーカーなどから同社の原料を用いたスキンケア化粧品が販売されている。2月の「健康博覧会2023」でも、タマヌオイルの製造販売を行う宮古島の「ヤラブの木」が出展。大手百貨店のバイヤーを含む感度の高い来場者と終日商談を行い、「非常に良い話を頂いた」と語った。廃棄されていた原料を高付加価値製品にアップサイクルし、地元の雇用創出や地域振興にも貢献するなど、昨今のSDGsにも対応するタマヌオイル。沖縄発の新たな美容素材として今後要注目だ。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1759号(2023.3.1)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら