特集【青汁】 飽和感否めず 、未利用ユーザー開拓がカギに

 本紙編集部では1月中旬〜2月上旬に掛けて、青汁製品の原料サプライヤー、受託加工・製造企業、販売メーカーを対象に、取材およびアンケート調査を実施。2022年通期の青汁製品(グリーンスムージー含む)の市場動向をまとめた結果、前年比0.18%増の推計約1,078億円となった。今回、原料サプライヤーや受託加工・製造企業への取材・調査では、2022年3月31日で原産地表示義務化の経過措置が終了したことを受け、これまで以上に国産原料の需要が拡大。国産原料サプライヤーの多くが、2022年は増収と回答した。また有力メーカーや販売企業が、国産有機の青汁製品を投入したことで、有機原料の需要も伸長していることがうかがえた。受託加工・製造企業の業況も堅調に推移した。市場は飽和状態にあるとはいえ、既存取引先の製品リニューアル案件や、新規の案件が依然として多いことが要因だ。また、受託製造企業からは、「ドラッグストアのPB志向が高まっている」「中堅スーパーや地域密着型の小規模スーパーでもPB製品を発売する動きが見られる」などのコメントも聞かれた。

 

 一方、青汁製品の小売市場ではパイの奪い合いが続いている。販売チャネル別の動向を見ると、売上ボリュームが最大の通販を含む無店舗販売チャネルは、2022年は微増で推移。ただ今回の調査では、コロナ禍で沈んだMLMや宣講販など対面販売チャネルの売り上げ回復が寄与した格好で、メインの通販チャネルは横ばいに留まった。アサヒ緑健や世田谷自然食品、サントリーなど知名度の高いブランドがしのぎを削る通販チャネルでは、「販促費用=業績向上」の構図が顕著化しており、主要企業の中でも販促費用の削減や、他の主力製品に販促費用を回したことで、青汁製品の売上減に繋がったとのコメントも見られた。加えて近年は、山本漢方製薬や日本薬健、ヤクルトヘルスフーズ、新日配薬品など、店販チャネルを主戦場としてきた企業が相次いでEC市場に参入、店頭でのネームバリューに加え、ECやSNS向けの販促費用を投下しており、通販チャネルでは企業間の熾烈なシェア争いが続いている。

 

 DgSやGMS・SMなど店販チャネルは横ばいで推移。DgSなど薬系店舗の主要企業は堅調を維持した。ただ最近は、チェーンドラッグのPB製品志向の高まりを受け、NB製品との棚の奪い合いも出てきているようだ。一方、GMSやSMなど食系店舗は厳しかった。相次ぐ食品や日用品の値上げを受け、「“ついで買い”要素の高い食系店舗では、青汁製品を買い控える動きが見られた」とのコメントが聞かれた。最近は店舗がSKUを絞る傾向にあるといい、さらに食系店舗でもNB製品とPB製品の棚の奪い合いが見られるという。その他のチャネルを見ると、エステサロンや化粧品販売店、美容室、フィットネス・スポーツクラブ、ヨガ施設などでも青汁製品が流通する機会が増えている。特にスポーツ・ヨガ施設などでは、ケールやモリンガ、微細藻類など、スーパーフード系の青汁製品を好む傾向が見られる。受託製造企業からは、「パーソナルトレーニングジムやヨガ施設などから冷凍青汁の引き合いが増えている」「SDGsにも対応するモリンガは、ヨガ愛好者の思考にマッチしている」とのコメントが聞かれた。つづく

 

 

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