【話題追跡】 ハードカプセル、まだ供給タイト? 新規参入メーカーの情報も
ハードカプセルの供給タイトな状況が続いている。昨年、クオリカプスとロンザによる相次ぐ供給停止に端を発するハードカプセル問題は、供給再開や増産体制の整備で復調に向かう中、未だ不足状態にある。その理由とは?新規参入の動きもある中、主要メーカー3社の現状と、ハードカプセル市場の見通しについて取材した。
昨年浮上したハードカプセル問題は、サプリメント市場におけるハードカプセル剤形の重要性を表面化させた。編集部には、「夏上市予定だった新製品の製造が間に合わなかった」「事前に案内していたリニューアル品の時期が大幅に遅れた」などのブランドオーナーの声が多数寄せられた。現状について、クオリカプスは、昨年11月に植物由来HPMCカプセルの内、ノンカロリーカプセル『Quali-V-N』の供給を再開。酸溶解遅延カプセル『Ouali-V-S』や、ゼラチンカプセル『Quali-G-N』については、「4月以降、徐々に供給再開を目指す」としている。ロンザは、昨年6月の自主回収と並行して、予防的措置として流動パラフィンが含まれない離型剤を使用した健食向けハードゼラチンカプセルの製造に着手。「クライアントの要望に応えるため、いち早く供給体制を整え、フル稼働で出荷中だが、需要に追いついていない」という。ソーフンジャパンは、「ゼラチンのハードカプセルは安定しているが、需要の高いHPMCは増産準備を進めており、早ければ春過ぎから供給する」としている。
近年は、乳酸菌やNMNを用いたサプリメント開発での採用、耐酸性や崩壊遅延防止といった技術による機能性表示食品分野での伸長に加えて、「独身の日」などの特需もあり、今だ供給不足にある。そうした中、中国やインド、台湾などから、ハードカプセルメーカーの新規参入情報も。食品用途の空カプセルは、摂取量を必ず添付文書で規定する医薬品ハードカプセルと異なり、特に摂取制限がないので、食品原料と同様の手順で輸入可能だ。ただし、製造工程が日本の食品衛生法に沿っていることを確認しておく必要がある。昨年、供給不足の中、新規で空カプセルの支給を受け試作した受託製造企業からは、「メーカーによって、サイズや透明感が微妙に異なるため、最終的に品管をクリアできなかった」という指摘もあった。日本のレギュレーションに合わせて、こうした課題をクリアしていく動きや、日本市場に向けて供給体制を構築する動きが進んでおり、ハードカプセルメーカーが新規参入する可能性が高まってきた。つづく
詳しくは健康産業新聞1758号(2023.2.15)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら