ZOOM UP【殺菌技術】 青汁・健康茶・シード類・雑穀類などで需要高まる

 異物混入や残留農薬、微生物汚染など食品の品質・安全管理対策は、生鮮・加工食品ともに不可欠だ。コロナ禍においては、感染予防の意識の高まりや、一昨年6月に完全義務化されたHACCPなども影響し、コンビニやスーパーなどの品質・衛生管理基準も厳しくなっていることから、スパイス系やスープ類、シード系や雑穀系などの殺菌依頼が増加。越境など輸出入関連も増加傾向にあることから、紅茶、ルイボス茶といった輸入茶葉などの殺菌依頼も増えている。健康食品においては、植物系や動物系の天然由来素材が多く、原料の特性を損なわない殺菌技術が重要視される。殺菌ニーズは、明日葉や大麦若葉、ケール、桑の葉などの青汁素材に代表される粉体全般で殺菌依頼が増えている。

 

 粉体殺菌には、加熱殺菌、薬剤殺菌、紫外線殺菌、放射線殺菌等の方式がある。放射線殺菌に関しては、海外50ヵ国以上で、香辛料や乾燥野菜などの殺菌用途に利用されているが、日本では一部(馬鈴薯の発芽防止目的)を除いて禁じられており、これまで海外で放射線殺菌を施された原料が輸入後に回収されたケースも報告されている。海外展開による輸出入案件が増加傾向にある中、国内外で殺菌の基準は異なる点を踏まえ、特に殺菌処理済の原料を輸入する際には、国内の殺菌受託企業と連携するなど注意が必要となる。

 

 数ある殺菌方式の中でも、100℃で気化した飽和蒸気をさらに100℃以上に加熱した過熱蒸気を短時間噴射し、有効成分の失活や酸化などの品質劣化を最小限にとどめる加熱殺菌法は、健康食品原料の殺菌加工で最もポピュラーな殺菌法だ。加熱殺菌はさらに、低温殺菌(蒸気・熱湯)、高温殺菌(過熱蒸気、煮沸)、高周波、マイクロ波、赤外線、遠赤外線など様々な方法に分類され、原料本来の「色調」「香り」「味」を損なわないよう、特性にあわせた殺菌方法が要求される。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1757号(2023.2.1)で
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