【インタビュー】 機能性表示食品、成分変化の分析法確立が必要

 九州大学農学研究院の清水邦義氏は、霊芝の機能性研究に従事する一方、機能性表示食品を目指す企業を支援する「目利き調査事業」(福岡バイオコミュニティ推進会議)に参画している。同氏に霊芝の魅力や機能性表示食品の可能性などについて話を聞いた。

 

―― 他のキノコ類にはない霊芝の魅力は

 

 霊芝は、他のキノコと同様、免役増強に関与すると考えられているβ-グルカンをはじめ、一連の多糖類を有する。それだけではなく、霊芝にしか報告されていない300種以上のトリテルペノイド類を含有しており、多種多様な薬理活性を有することが大きな魅力であろう。私どもが過去に検討し、確認した薬理活性だけでも、抗前立腺肥大症、抗骨粗しょう症、抗高血圧、糖尿病、抗糖尿病合併症、抗ウイルス、抗がんがあり、それらの活性発現の理由として、含有される300種以上のトリテルペノイド類の構造的多様性が挙げられる。

 

―― 機能性表示食品の届出の可能性は

 

 健常者での臨床試験論文の報告が少なく、今後、健常者での臨床試験論文が報告されれば、機能性表示食品の届出の可能性が見えてくる。ただし、霊芝の他の機能性素材との違いの1つに、多種多様の薬効成分(トリテルペノイド類)の存在が挙げられるが、機能性表示食品の届出を行う場合には、そこの部分が、足かせとなる可能性もある。どのようなロジックで、どのような成分もしくは成分群を、機能性関与成分にするのかが重要な関門と成り得る。さらに、霊芝やヤマブシタケなどにおいては、類似骨格を有する「成分群」が機能性を発現しているととらえられる場合もある。その際の機能性関与成分の考え方としては、大豆イソフラボン(複数のイソフラボン類を機能性関与成分とし、それらのアグリコン総量を含量の指標)の届出事例が参考になるかもしれない。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1756号(2023.1.18)で
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