ZOOM UP【PS(ホスファチジルセリン)】 PS市場、堅調に拡大

 脳や神経組織に多く含まれるリン脂質の一種で、ブレインフードの代表格として知られるPS(ホスファチジルセリン)。欧米では1950年代にPSの研究が開始され、これまでにヒト試験も含め有用性に対する数多くの論文が発表されている。PSの摂取は、脳の血流を改善し脳細胞を活性化させる働き、脳内物質の伝達をスムーズにする働きなどが確認されており、アルツハイマー型認知症、加齢に伴う記憶力低下、抗うつ、てんかん患者の発作改善、ストレス耐性向上、体内時計の異常修復、甲状腺ホルモンの分泌リズムの正常化——などの臨床報告がなされている。

 

 米国では2003年、高齢者の認識力低下や認知症リスクの軽減に対し、アメリカ食品医薬品局(FDA)から「限定的強調表示」を容認されているほか、韓国でも2013年にPSを300mg配合したサプリメントに対し、韓国食品医薬品安全庁(MFDS)から「高齢者の認知力の低下をサポートする」旨の機能性表示が認められている。日本国内でも2017年12月27日に初めてPSを機能性関与成分としたサプリメントが、機能性表示食品に受理された。表示内容は「大豆由来ホスファチジルセリンは、記憶力が低下した健康な中高齢者の認知機能の一部である記憶力(言葉を思い出す力)の維持をサポートすることが報告されています」旨で、1日摂取量はPS100mg。1月10日時点で21品(撤回除く)が受理されている。

 

 受理数は決して多くはないものの、ディーエイチシーやノエビア、日油、小林製薬、雪印ビーンスターク、山田養蜂場などの大手・有力企業による受理が目立つ。またPS単体での受理に加え、イチョウ葉エキスとのW表示や、クルクミン、フェルラ酸、プロポリスエキスなどを加えた複数表示も見られる。さらに、サプリメントタイプに加え、2021年には日油が乾燥タイプの即席味噌汁で受理され、今後は一般食品形態での受理数の増加にも期待される。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1756号(2023.1.18)で
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